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BtoBにおいては営業部門において差別化を達成する

  • 考え方を学ぶ
  • 2012/06/01

物が売れる時代には、製品開発が差別化の源泉であった。

しかしながら、売れない時代、つまり現在では、プロダクトアウト型のバリューチェーンでは、競争力を高めることができなくなってしまった。

「開発」は重要な要素ではあるものの、「開発」だけで会社の差別化は十分行えなくなっているのが現状だ。

一方、本来売上をあげることに直接かかわっている営業部門はどうなっているのか?

競争相手と比べてみると、同じように“初めに製品ありき”の営業であり、使っているツールも同じ、提案内容も“自社の製品をアピールすること”が重要であるところは変わらない。

営業活動も、訪問顧客を決め、アポ取りをし、ツールを準備し、商談し、受注と決済し、あと顧客をフォローするという流れも競合とはほとんど変わらない。

違いがあるとすると、どれだけ営業活動をうまくやれるかということと、営業個人の魅力度によるぐらい。

このことから考えると、営業部門の差別化をはかることで、競争優位を維持することができるのではないかと思う。

どのように差別化ができるのか。

顧客企業が業績を高めるうえでの課題を発見し、自社の製品・サービスにおいて解決提案し、それを実現するためのバリューチェーンを作り上げることだ。

この方法はかなり難しくチャレンジングではあるが、取り組む価値は大きい。

高度成長期にはプロダクトアウト型で成功することは、比較的容易で成果も大きかった。

新製品を開発して、それを営業が小売店に担いで行って、マス広告で認知度を高めれば、どんどん物は売れていった。

若い人の数も多く、年収は増え(もしくは増えると期待され)、車もバッグもブランドを持つことがステイタスとなり、欲しいものがいくらでもあった。
 

しかしながら、皆さんご存知の通り、バブル崩壊後は環境が大きく変化して、海外旅行にも留学にも興味はない、欲しいものはない、平凡で平穏なのが一番という人が増えてきた結果、いくら物を作っても売れない時代へと変わってしまった。
 
これだけモノがあふれてくると、自社の「新製品」は、他社の「既存の製品」であることが多い。

また、iPhoneのように新鮮な「新製品」はほとんどなくなり、目先を変えること、スペックを上げること、追加の機能を付けることが製品開発の大半になってしまう。

頑張っても、ニッチを狙ってターゲットのはっきりした製品にすることができるぐらいで、成果としての売上は小さくなってしまう。
 
医薬品業界でも、新しい物質は昔の何倍、何十倍に増えているが、実際に薬効のある新薬開発は難しく、2万の物質があっても、やっと1つの薬が承認される状況で、開発効率は90年代の半分以下になってしまっているそうだ。

承認されても昔の様にブロックバスター的に大きな売上げを上げられる薬は出てこない。

このような環境では、「開発」は重要な要素ではあるものの、開発だけで会社の差別化を十分に行うことは困難となってきているのが現状だ。
 
とすると、現代における差別化はどのように行うのか。
 
営業における差別化ではないかと思っている。他社とそれほど製品は変わらなくても、顧客の課題を理解し、課題を解決するための方策(売上増、生産性の向上、コスト構造の変換、など)を自社の製品やサービスをすすめることで成しうることができれば、顧客は喜び、結果業績は伸びていく。
 
初めに製品やサービスありきではなく、顧客の満たされないニーズに応えることを目指すわけだ。

労働力調査を見ると、従業員に占める「販売従事者」つまり営業は12%いる。

この人たちの力を生かすことができれば、大きな変化になるはずだが、営業は個人のスキルにゆだねられていることが多い。

同じ会社の営業の人に、どんな流れで活動しているかを聞くと、人によって異なった流れを言うことが多い。

スタートがアポ取りから始まる人もいれば、情報収集から始まる人もいる。最後が契約締結で終わる人もいれば、フォローの人も、次の受注につながる活動になる人もいる。
 
この、アプローチに対する認識の違いは大きい。
 
でも、営業活動は本来このように行うべきだ、という知恵が共有されておらず、個人的な活動になってしまっていることも成果をあげれない原因のひとつだ。

組織として提供している製品、営業ツール、販促物、営業教育は、すべて不特定多数の顧客向けに開発されたものであって、特定の顧客セグメントに対応したものではない。

営業の問題は、個々人の問題であり、同時に組織の問題でもある。

今こそ、個人スキルと組織スキルを上げて、営業での差別化を考える時期に来ているのではないか?
 
文責:斎藤顕一

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