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事実の裏付けのない“一般論”は自社の問題に使わない

  • 戦略策定のためのアプローチ
  • 2012/07/04

経営に興味のある学生や、管理職の人達また文字通り経営に携わっている経営者たちの中には熱心に本を読んだり、講演会に出かけたりして、大事な考え方を学んでいる人たちがいっぱおられる。
そして、それらの学びを、日常の事業運営で活用しようとする。これ自体は素晴らしいことだと思う。
ただ、時々、経営者や管理職のひとたちと討議していて気が付くことは、一般論として正しい考えではあるけど、自社の現状を正確に理解していないで、これらの一般論を使う傾向がいかに多いかということ。
例えば「国内市場は成長していないので海外に行くべきだ」、「現在の事業では成長には限界があるので、新規事業に取り組むべきだ」、「成長の可能性のある分野に積極的に投資をする」、というような“新たな成長を達成する上での重要な考え方”も、市場の魅力度や自社の実力度合や、その事業での成功確率に対する読みを事実ベースで評価できていない場合は、これらの考えは全く役にたたないどころか、会社を崩壊に至る道に誘導することになる。
一般論は一般論として正しいものの、これらの一般論が有効に働くのは“事実ベース”で自社を取り巻く環境や自社の現状を理解したうえで、しか起こらないことを肝に銘ずるべきだと思う。

 
リスクを取る話も、新規市場に参入することも、初めにこれらの考えがあって行動するのではない。
 
市場の魅力度や競争環境を理解することはもちろんのこと、自社の財政状況、バリューチェーン(VC)の競争力の度合、VCの各要素の連携がうまく取れているのか、またこれらの売上をあげる戦略軸の実現を可能とするインフラが整っているのか、そもそも企業の活動に取り組む人たちの意識は高いのか、という現状についての理解がファクトベースによって検証されていることが大前提になるのだ。
 
これらの事実ベースでの理解が十分にできていることが不可欠要素であって、それらの事実から導かれた意味合いを考えるときに初めて“一般論”が参考になるのだ。
 
一般論の議論を“乱発”する人たちの共通点は、新しい考えを学ぶことに貪欲であること、自分なりに目指したい姿についてのイメージをもっていること、でも事実ベースで自社の置かれた状況を正確に理解していないことなのだ。
 
自分が成し遂げたいことを正当化するために、一般論を“自分の考えを正当化”するために使う。これらの考え方は自社が業績を高めることが出来ない本質的な問題を理解しないで、ただ取り組み方だけを明示して進んでいくため、会社に致命的な損害を与えることにつながる可能性があるのだ。
 
問題解決は本から一般論として学ぶものではなくて、顧客から学び、事実から学ぶものであることを再認識する必要があるのだ。

 
文責:斎藤顕一

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