人の生産性を高めて投資に対するリターンを大きくする(1) |

人の生産性を高めて投資に対するリターンを大きくする(1)

人の生産性を高めて投資に対するリターンを大きくする(1)

ここ50年ほどのスパンで見ると、日本企業の総資産経常利益率(ROA)は確実に低下傾向にあるといえる。
企業は設備投資することで新たな成長を達成しようとするわけであるが、投資に対しての利益が十分に稼げなくなってきているのだ。
投資効果や効率の高い設備や機器を厳選して投資することは大事ではあるが、人の生産性を高めることを重要課題として取組む必要がある。
この場合、個別人材の行動をどのように変えて生産性を高めるのかも重要ではあるが、まず企業として“従業員が頑張る気になる”体制作りや雰囲気作りをしておくことが基本。
具体的には、どんな会社になりたいのかというビジョンを示すこと(2012年3月語録)であり、今までの継続ではなく、使命や目的にもどってその実現のために常に新しい取組みをすることだろう。
むろん、それらの新しい取組みを提案し、率先して行動する人達に報いる仕掛けも必要になることは言うまでもない。

 
人を通じて生産性を高めるということは、何年も言われていることではあるものの、ほとんど改善されていない。
 
設備や機械が老朽化していることは簡単にわかるし、キャッシュフローが許す限り取り替えることは簡単にできる。
“人の老朽化”も簡単にわかるけど、そう簡単に取り替えることはできない。
 
もっと大きな問題は“新品の人”も“組織に馴染んで使い易くなった人”も、実際には老朽化が進んでいる人が多いところにある。
 
この問題は個人だけの問題ではなく、組織の問題が大きい。
 
“人間としての価値とはなにか”、や“企業の本当の使命はなにか”などの軸足を明確にできない組織。
間違った言動をした人に対して、正しく“しかる”ことができない組織。
正しいことを発言し、“変えること”を提案する人を疎ましく思う組織。
後ろ向きになっていることすら気がつかない組織。
 
これらの問題を解決するには、まず企業自体が、体制や風土を変える必要がある。
最もわかりやすく成果につながりやすいのは、使命や目的を明確にしたうえで、それらを実現するために“新しい取組み”をすることだ。
 
新しい家、新しい服、新しい携帯電話、なんでも新しいものにはわくわくする。
簡単に取組める小さな新しいことや、ちょっと大変でも効果のある大きな新しい取組みを始めることだ。
 
大事なのはそれを提案できる雰囲気を作ることだ。
提案して行動し、成果を上げた人を報いることは生産性を高めるうえで不可欠要素だ。
 
まずそれらを整備することで、生産性向上のための準備をしておくことが重要になる。
 

文責:齋藤顕一

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