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従業員満足を高め企業業績を向上させる

「従業員満足を高めない限り、顧客満足を高めることは出来ない」と言われる。
これは従業員満足がない限り、いくら接客法や顧客が喜ぶ方法を教えたところで成果は上がらないという意味だ。
確かに、従業員が自分の会社や仕事に不満を持ち、自分の仕事に一生懸命に取り組んでいないとするならば、お客さんや上司がその従業員に感動するわけではなく、まして信頼感を持つわけがない。
それでは、従業員は何によって満足するのか?
おそらく重要な切り口としては、①会社の仕事に意義を見出せるか、②人間関係に良循環を生み出す要素があるのか、③貢献したときに報いがあるのか、の3つなのではないか。3つともすべて揃っていれば顧客満足を高める可能性が極めて高くなるだろうが、1つしかない場合はまず無理だろう。
会社に“人を大事にすることで業績を上げたい”という意思と行動力があれば、これらの3つを満たすことはそれほど難しいことではないが、“人を大事にする”という意識がないとするならば従業員による価値の向上はないと考えたほうがよい。

 
【解説】
 
従業員満足と言うと“甘やかす”と思う人がいるかもしれないが、甘えとはまったく無関係で、むしろ従業員の意欲やモチベーションと関係している。
 
会社はなんらかの形で社会貢献するために作られているだろうし、開発であれ営業であれ、総務であれ、すべて会社の“使命”を達成する上で重要な役目を持っており、それを明確にして仕事に意味づけをしているか、していないかで①が決定されるだろう。
 
②の人間関係の良循環とは、価値観も性格も違う人の集まりがひとつのチームとして仕事をするわけだから“好き嫌い”関係は発生するし、珍しくもないとは思うが不公平な上司も存在する。たとえ“嫌な人間たち”が周りにいたとしても、その逆境をプラスに変えることのできる“良い人間たち”が存在しているかどうかと関係している。
 
③の報いとは、“評価に反映される”、“みんなの前で褒められる”、“ボーナスが支給される”など、本人の貢献を“認知”し、その“認知の証”を示せるかどうかということだ。
 
従業員を“使い捨てのコマ”と考えている会社には、これらの3つのことに対する配慮が出来るわけがない。
会社が実現したいと考えている夢やビジョンの実現は、自己育成の機会を獲得する従業員のみによってそれが達成されると信じている会社だけに許されることなのだ。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。

外部の知恵を活用する

売上が減少し始めて収益性が悪化し、近い将来においても業績向上が見込めない場合、会社は“リストラ”を決断せざるを得なくなる。
しかし、多くの会社でのリストラに向けた取組みは必ずしも成功しているとは言えない。
リストラしたのに黒字化できなかった場合もあるが、むしろリストラ実施後に活力を失いそのまま倒産してしまうケースのほうが多い。
リストラの失敗は、経営層の“弱気”もあるが、本来のリストラの意味をはき違えて削減計画だけに取り組むことからくる。
リストラは短期的に成果を出すことを目指すために、取組みの中心はどうしても人員の削減と資産の売却などになりがち。
しかしリストラの意味は“Re-structuring”(事業の再構築)であって、人とモノの削減だけを意味するものではない。
厳しい市場環境の中でも収益をしっかりと確保できる体制作りが目的であり、その目的を満たすための取組みを行うべきなのだ。

 
【解説】
 
人間は思い込みの動物であり、主観的にものごとを考えるのに慣れている。
 
客観的に考えるためには、自分を他人の立場において考えてみるということも良いが、「売上が増大しない本当の理由は、大きく分けても5通りある」というように、論理的帰結として考えてみることが出来ると大いに役立つ。
 
企業経営者や意思決定に責任のある立場の人たちが、論理的に考え、必要とされる情報を明確にし、分析方法を示すことで、多くの事実から本質的な問題を発見できるのでるのであれば、もちろん問題解決活動に取り組める。
 
もし、それらを実施する上で、“方法がわからない”とか“ためらい”があるのであれば、外部から企業変革の知恵と具体的な売上増大の施策と、それを実現するための仕組みや仕掛けに関する具体策を得ることのほうが貴重な時間を買えるし、なによりも社内に存在していなかった「問題解決のノウハウ」も獲得できる。
 
外部の知恵を検討する時には「分析方法やテクニック中心」ではなく、むしろどのように問題解決に取り組んだらよいのかの「考え方が出来ること」を重要視することが肝要だ。

 
 
企業業績を向上させるためには、市場・競争環境を今までの「事業運営の視点」でみるのではなく、「対象とする顧客の満たされていないニーズの視点」で評価する必要がある。
 
企業は自社の視点、つまりは“主観的”に市場を見ることに慣れ親しんでいるため、新たな売上げ増の施策を立案するためには、どうしても客観的に評価するスキルが必要となるわけだ。
 
社内にそのスキルを持った人材が不足しているのであれば、社内で育成するか外部に依存するしかない。
 
どれぐらい早いスピードで会社を変えていくかが業績向上の鍵となっている現在、自社で人を育てる時間は膨大になり、期待成果を引き出すためにかかるコストは「外部の知恵」を雇うよりはるかに高額になる。
 
外部の知恵を使う意味は、企業を取り巻く市場・競争環境を示し、業績を上げるための方法を学ぶ「勉強になる機会」をもらうことではない。
売上げを増大させ利益を増やすのを手伝ってもらうことなのだ。
 
さらに、共同作業をすることで、質の高いノウハウ獲得のスピードを高めることができる。
 
そのような“質の獲得”であるため、「外部の知恵」を得る際は、企業の業績が上がらない理由について熟知しており、想定される問題とその解決法についての考え方を示せることが重要になる。
 
試しに、想定される課題を投げかけて、その課題から本質的問題を類推することができるかどうかを試してみたらよい。
 
一般的なアプローチしか示せない場合は「外部の知恵」もただの(無料ではなく高額になる)「知識の提供」にしかすぎないことになる。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。

リストラを成功させる条件

売上が減少し始めて収益性が悪化し、近い将来においても業績向上が見込めない場合、会社は“リストラ”を決断せざるを得なくなる。
しかし、多くの会社でのリストラに向けた取組みは必ずしも成功しているとは言えない。
リストラしたのに黒字化できなかった場合もあるが、むしろリストラ実施後に活力を失いそのまま倒産してしまうケースのほうが多い。
リストラの失敗は、経営層の“弱気”もあるが、本来のリストラの意味をはき違えて削減計画だけに取り組むことからくる。
リストラは短期的に成果を出すことを目指すために、取組みの中心はどうしても人員の削減と資産の売却などになりがち。
しかしリストラの意味は“Re-structuring”(事業の再構築)であって、人とモノの削減だけを意味するものではない。
厳しい市場環境の中でも収益をしっかりと確保できる体制作りが目的であり、その目的を満たすための取組みを行うべきなのだ。

 
【解説】
 
出来ればリストラはやりたくないと考える経営層は多い。
やったこともないことに取組む不安感や、今までの取組みが間違っていたことを認めたくないことから来るのだろう。
 
過去において赤字を経験したものの、今までそれを乗り越えて来たのだから、今回も逆境を通り抜けることができるとどうしても考えたくなる。
いくらデータで会社の危機を示されても、人や資産の削減を本格的に実施するというのは、未経験であるがゆえに行き過ぎだと考えてしまう。

 
 
そもそも、“リストラが必要”とされる意味は、対象市場の成長が限定的で、今までの事業運営方式の延長では、売上増が困難で存続が難しいから、組織・人材・戦略を含め、事業運営自体の見直しが必要だからだ。
 
そのような状況では、自社の競争力を高めてシェアを伸ばし売上をあげたとしても、それだけでは現在のコストを賄えない。
 
また、新規事業で売上をあげようとしても成功するかわからないし、もちろん成果が出るまで数年かかるために、会社はそれまで存続ができない。
 
むろん、競争力を高めるための取組みは不可欠であるし、業界自体の成長が見込めない場合は、新規事業への参入を見据えた取組みを開始すべきであることは言うまでもない。
 
しかし、そのような活動と同時に自社の収益構造を見直し、過剰な部分を削減したりして身軽な体制にするのは当たり前なのだ。
 
人の削減も契約社員だからとか、年齢が高く人件費負担が大きいからという理由で行うべきでない。
より高いレベルの知識と知恵を増やすことに努力し、自ら成長思考する人達こそが次の会社の成長を可能としてくれる人材であり、これは年齢とか正社員であるとかとはまったく関係がないのだ。
 
新たな成長を目指した取組みと収益構造の見直しが“リストラ”において検討されるべきことで、これが社員の納得と支持を得る方法なのだ。

 
文責:斎藤顕一

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顧客の信頼を獲得するために自分の時間、お金、エネルギーを使う

「顧客ニーズに応えることが大事」とか、「顧客が期待していること以上の サービスを提供する」ということは企業業績を高めるためにはすごく大事なことではあるが、それを実現することは極めて困難といえる。
それは対象顧客セグメントを決めるという基本的な活動をベースに、顧客ニーズや顧客が本当に期待しているものはなにかをまず見極めることを行う必要があり、それが困難だからである。
顧客を理解する活動は会社として継続的に進めていく必要があるものの、実は日常生活における行動によって1人の顧客の関心を得ることができるし、それが結果的に多くの顧客からの支持をうけることにつながる。
つまり「当たり前のこと」を確実に行うことや、「相手の人がきっとそんなことは起こらないな~と思っていること」とか「相手が想像もしていなかったこと」をやってみることで感動を生み出すことが出来るし、それを継続して行うことが出来るようになると結果的に“顧客からの信頼”を獲得することが出来るのだ。

 
【解説】
 
顧客を理解し、顧客が求めていることに対応すると、顧客の信頼を獲得し企業業績は確実にあがる。
 
顧客を理解し信頼を獲得する活動は会社として継続的に取組むべき活動ではあるが、顧客の信頼を得るために個々人がやれることは結構ある。
 
当たり前のことを確実にやることでは、「お礼はその日のうちにしておく」とか、「約束は絶対に守る」とか、「服装を正すことで敬意を表す」とか、「顧客に対応する時には、顧客の言葉に集中しなんとしてでも応えようと努力する」など、思いつくだけでもいっぱいある。
 
それでは相手が想定していないこととはどんなことか。
 
「土日で会社が休みなのに対応してくれた」、「深夜にも関わらず返答してくれた」、「手弁当で取組んでくれた」、「無理な注文にも出来る範囲を広げようと必死に努力してくれた」など、普通個人が最重要視しがちな自分の「時間」、「お金」、「エネルギー」を犠牲にして顧客に対応しようとすることが、確実に感動を与えるし、その積み重ねが「信頼」につながっていくのだと思う。
 
「給料分だけの仕事をする」、「就業時間だけしか仕事をしない」など、顧客を考えるよりも、自分中心に考える人間が顧客の信頼を得ることは不可能と考えるべきだろう。

文責:斎藤顕一

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売上を上げるためにはまず国内を見直してから

調べてみて驚いたのですけど、これだけグローバル化が重要と言われながらなんと日本の上場企業の81%は輸出比率が25%以下で、国内市場を主要な事業領域とした事業展開を行っている。
しかも、国内製品市場の多くは成熟市場であって、その中で売上を継続して上げていこうとするわけだからハードルはかなり高い。
それでは比較的成長している海外市場へ行くかというと、もともと海外に売上を増大させるためのインフラを構築していない企業が、まして海外事業を運営できる人材が社内に育っていない場合は、海外で売上を増大することはかなり困難と言える。
とすると、まずは自分達が良く知っている国内市場を再度徹底的に分析し、拡販の方法を探し出すことが最善の方法になるわけだ。
シェアの低い下位企業にとっては自社のバリューチェーンの見直しだろうし、シェアの高い企業の場合は販売力と製品・商品開発力の徹底強化による新市場の開拓を検討すべきだし、それこそ自社だけでもだえ苦しむのではなく競合会社との連携による生き残り策も含めて検討すべき時期にあると言える。

 
【解説】
 
多くの企業は国内中心型であって、国内市場の成熟化に伴って売上を伸ばすことができないのが最大の問題点とされている。
 
海外で戦う選択肢を考慮して準備を始めておくことは良いが、成長市場に目を奪われるのではなくまず自分たちが熟知している国内市場において売上を継続的に伸ばす体制を整えることが先決。
 
シェアが低い会社にとっても競争相手から売上を奪える可能性は常にあるわけで、バリューチェーンの販売力の見直し強化を行うことで売上増加が可能となるため、まずここから取り組むのが定石。
 
またいずれの場合も取組みの大前提として、今までの「初めに製品ありき」からスタートしていた販売体制ではなく、「初めに顧客ありき」というように意識を大きくシフトさせることが重要となる。
 
つまり、今、販売している製品をどう売るかではなく、まず対象顧客を再度定義づけた上でそれらの顧客が求めていることを十分に理解することを行うことなのだ。
 
そうした上で、顧客が求めていることに対して、自社の製品開発、調達、生産、マーケティング、販売やサービス活動を再設計すると同時に、これらの戦略的な取組みを支援する業務部門の重要活動を見直すわけだ。
 
自社で競争力を強化できる場合は変革を促す強いリーダーを中心に努力することでも良いが、戦略実現が自社で困難な場合や、間接部門の生産性を向上させることが困難で、人の危機意識レベルも改善しようがない場合、外部のプロを活用することで競争相手や補完企業との合従連衡を行うことなどの選択肢について検討することが求められる時期になったといえる。

 
文責:斎藤顕一

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人の信頼を得る

お客様と直接関わり製品やサービスを購入してもらう営業職や接客業の人たちにとって、どのようにしてお客様の信頼を得るのかは重要な関心事だ。
もちろん、ほとんどの人は、他の人との関わりを持ちながら人生を過ごすわけで、その意味からいうと「人が人の信頼をどのように得るのか」というテーマは誰にとっても大事な関心事といえる。
信頼できる人の共通点とはなんだろう。
それは、その人の持っている“強み”が、他の人にとって“良いところ、価値あるところ”と認識されており、それがどんな場合でも“ぶれない”人ではないだろうか。

 
【解説】
 
お客様との信頼関係を築こうとか、信頼される人間になろうということはよく言われる。
 
しかし、言葉としては使うものの、信頼を得るために自分はなにをするべきか、などと考えることはあんまりないだろうし、信頼されることを目指して行動を変えるということは滅多にないだろう。
 
それは“信頼”の重要性がわかっていても、どうすれば良いのかがわからないからだろう。
“信頼”とは決してテクニックで得られるものではない。信頼とは自分の価値観から生まれるのであって、その価値観を伝えるためにきっとテクニックがあるのだと思う。
 
だから、顧客を大事にしない人や他人を大事にしない人の言葉は、どんなに美しくても心は動かされない。

 
信頼される営業の要素のひとつとして、「商品に関する知識が豊富で顧客の疑問に応えれる」というのがある。
この営業の場合、“商品知識”は強みであると同時に、顧客が商品に求める機能を理解したうえで、“その知識を増やすために努力していること”が強みになる。
さらには、その知識の豊富さに満足をおぼえる顧客の反応に、おそらく“顧客が喜ぶことにもっと応えれるようになりたい”と思うことが、“信頼の元”になるのだろう。

 
そこから考えると、初対面の場合でも相手にその気になってもらうとか、感動してもらうために、何を言えば良いか、どのように美辞麗句を述べればいいかを考えるのではないことがわかる。
 
軸足をしっかりと定め、そこからは絶対にずれない。そうした上で、“自分が相手に伝えたいこと”を自然に伝えるのが信頼を持ち始めてもらう方法ではないだろうか。

 
文責:斎藤顕一

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顧客を理解するということとは

「お客様を理解しよう」とか「顧客ニーズを理解しよう」ということは日常的に言われているけど、本当に出来ているのであれば企業業績はきっともっとマシになっているはずなんですね。
呪文のように「お客様を理解しよう~」と唱えたところで、もちろん理解できるわけはない。
そもそも「顧客を理解する」とはなんなんだろう。
よく営業の人たちが新規顧客を開拓するときに相手の会社案内を取り寄せたり、またネットで会社概要を調べたりするけど、それが「理解すること」なのかな?
あるいは、四季報で業績変化を調べたり、日経新聞に目を通して、既存顧客や潜在顧客についての記述を読むことが理解することなのか?

 
【解説】
 
「なにをするか?」で迷うときは、目的を考えてみると解りやすくなる。
 
顧客を理解することの目的はきっと「お客様をどのようにすれば喜ばせることが出来るかを知り、相手の期待に応えた対応をして、その結果購買活動につなげてもらって、自分の会社の売上をあげる」ということにあるはず。
 
とすると、まさに、「どのようにすればお客様が喜ぶのか」を知ることが「顧客を理解すること」の意味であり、企業の概略や業績変化を知っていることは、相手の喜びとはまったく関係がなく、知っていて当たり前の世界であり、知らないことは論外ということになる。

顧客が喜ぶのはどういう時なのか?
良い顧客が喜ぶのは、「自分が期待していることにスピーディに応えてくれること」であり、結果的に「自分の会社の業績があがる」ことにつきる。
 
とすると、理解することとは、顧客の購買担当者が自分の仕事のレベルを上げるために最も必要とされていることはなにで(例示:品質、納期、価格)、どれぐらいのレベルをいつまでに達成して欲しいのかを知ることであり、購買した製品を使うユーザーである他の部門担当者が求める製品要素がなにか(例示:生産性、施行性)、また顧客企業のエンドユーザーである顧客がどのような「満たされていないニーズ」を持っているのかを理解することになる。
 
これらは顧客と接触し、質問しない限り理解できないことであるため、購買部門だけでなくマーケティングや製品開発、生産部門への聞き取り、またエンドユーザーへのインタビューが必要になる所以なのだ。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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顧客中心の営業活動に戻って既存製品の拡販を行う

顧客中心の営業活動に戻って既存製品の拡販を行う。

 
【解説】
 
現在のように売上が簡単に上がらない時代になればなるほど、営業は既存製品の値下げや、新製品の登場を渇望する。
 
もちろんその新製品が圧倒的強みを持っていたら万々歳であるが、強みがあろうとなかろうと、ともかく“新製品”と名のつくものが出るだけでも“営業トーク”がやりやすくなるので新製品は不可欠要素ととらえるようになる。
 
ただ現実的には、多くの“新製品”なるもので新たな需要を創造できるような製品になることは珍しく、単なる改善・改良型の新製品開発であれば、むしろ既存の製品の置き換えに繋がり売上自体は大きく成長しないことが多い。

 
 
とすると、新製品開発は別途進めるとして、まずは売れなくなってきている既存製品をどのようにして拡販するかを見極めなければならないことは自明の理だ。
 
売上が減少してくるのは、市場全体が冷え込んでいることに加え、競争相手も必死に戦いを挑むためシェアまで低下させるためだ。
 
営業は当然、競争相手の取組みに敏感であり、敏感であればあるほど相手の“新製品”や“価格”が見えるようになる。
“営業の質”の部分が見えないこともあり、質よりも見える製品や価格、訪問回数などで対抗しようとすることになるわけだ。
 
競争相手の“見える取組み”を理解して対抗策を考えるよりは、自分達の営業活動が本当に顧客中心になっているかどうかを見直して、顧客中心の取組みに変更することが売上げをあげる正攻法といえるのだ。

 
 
企業の資源は限られているし、顧客ニーズの多様化も進んでいるため、すべてのお客様の満足を満たすことはできない。
とすると顧客中心の営業活動の大前提は自分達の顧客を決めることをまず第一にやるべきことなのだ。
 
顧客を特定できれば、“顧客の顔”が見えることでより成功確率の高い対応策を考えることができるようになる。
 
顧客を決める場合も、個別顧客に対応してもコストばかりかかるので、同じようなニーズや購買行動を取る“顧客のかたまり”を発見して、その人たちをターゲット顧客としてその人たちが求めていることを徹底的に理解することで”売上げの規模“を高めるのだ。
 
なにを求めているのかがわかると、その満たされていないニーズを満たすために、顧客のどの部門の人たちに会うべきなのかを決めることができる。
購買部門は直接の窓口なので、もちろん訪問主要対象部門ではあるが、顧客の本来のニーズは購入する人ではなく使う人であるため、その人たちにアプローチすることも重要なのだ。
 
顧客のニーズが分かれば、なにが訴求ポイントとなるかがより理解しやすくなるため、より効果的な提案書を持っていくことができるようになる。
さらに営業の“質問し、相手の質問に答える技”を磨くことで、飛躍的に商談の成功確率を高めることができる。
 
顧客の課題や満たされていないニーズを理解し、それらについての考え方を営業が示すことで本当の意味での信頼感を得ることにつながり、それが結果として売上増につながることになるのだ。

 
文責:斎藤顕一

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他人の考え方の受け売りでは解決にならない

他人の考え方の受け売りでは解決にならない

本を読んだり、えらい先生の講演を聴きにいったりして新しい考え方を学ぼうとすることは素晴らしいことだ。

そうすることで、自分が経験していない世界に触れることが出来るので、考えや行動の幅を広げることができるからだ。

ただ、学問として学んだことや、書籍を読んで学んだことをその意味を理解しないまま、企業経営においてそのまま使うことには慎重になるべきだ。
 
企業が対象としている製品市場はそれぞれが異なっているし、顧客の状況もさまざまであり、競争相手の取組もそれぞれの企業の実力レベルによって大きく異なっている。

また当然のことながら、自社の施策を立案するレベルも、管理職の施策遂行レベルも、従業員全体がそれまで蓄積して来た経験レベルもすべて異なっている。

それらの異なった状況にいる企業や事業を“一般論”や“ある特定化された企業のケース”をあてはめて考えることは所詮無理がある。
 
まして、“えらい先生”が言っていることだから、この考えは自社の場面にもあてはまるはずだと考えている人がいるとしたならば、それは大間違いとも言える。
 
事業運営とは時代の変遷にともなって変化する顧客の価値観や行動様式を十分に理解したうえで、自社の取組とのギャップを理解し、そのギャップを埋めるために必要な取組を考え出すことであり、それはまさに“顧客や事実から学んだ上で自ら考える世界”なのだ、他人の知恵を生かすためには、まずその意味を理解した上で自らそれらの方法を実業で試してみてその有効性を確認し、自分なりの知恵に変換することなのだ。
 
そうした時の知恵こそが説得力をもち、事業運営において大きな力を発揮するのだ。
 

文責:齋藤顕一

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善なる行動によって業績向上できる体制の礎を築く

善なる行動によって業績向上できる体制の礎を築く。

 
【解説】
 
景気のよいときは、自分たちの会社や製品の良さを顧客に伝えることだけで製品を販売することができた。
 
しかし、現在のように生産した製品や仕入れた商品が、それらの良し悪しに関係なく、単に消費することを手控えているため売れないとするならば、そのときにはどうしたら良いのだろうか。
 
このまま景気が良くなるのをじっと待つだけなのか。むしろ、このような厳しい時期であるからこそ、自分達の事業のありかたを見直してみたらどうなのだろう

 
 
この消費の手控えの意味は、“購入の優先順位”が変更されたのであって、本当に必要とされているものがなくなることはないはず。
 
そのように資源配分を厳しく見直している時に、粗悪品をそれに見合った価格で販売したり、製品の品質を偽装したり、顧客の無知に付け込んで不必要なものを購買させるなどはもちろん論外であるし、今までの正攻法とされていた開発された製品やサービスを特定顧客に“必死になって売り込む”ことだけでも解決にはなりえない。
 
製品・商品・サービスが価格以上に魅力的であることを納得してもらうことはもちろん必要であるが、もっと大事なことはその提供する製品・商品・サービスとそれらの提供の仕方に“善”なるものを感じさせるかどうかが極めて大事になってきたと言える。

 
 
自社の利益、自部門の利益、自分個人さえ良ければいいのだ、という思想が根底にある限り“善”なるものを顧客に感じさせることはできない。
 
頑張っている従業員を大事にすることや顧客の利益を自社の利益より優先させること、また人に対する思いやりがなければ、どんなビジネスをやっていようが信頼が生まれるわけがない。
 
本来、ビジネスは“善”が原点にあるものであり、困難な今の時代こそ、“善”に戻ることで強い会社を作るための基盤ができるのだ。
 
その基盤が出来ていない会社にとっては、数値目標はただの“実現できない目標”にしか過ぎないし、いくら競争優位を目指した“戦略”を立案できたとしても、それはまったく無意味な取組みにしか過ぎない。
 
今回の世界不況は、我々にビジネスの原点に戻る機会を提供してくれたと考えるべきなのだ。

 
文責:斎藤顕一

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どのように生きたいか、何をしたいかを考える

新年を迎えるにあたり、今年はどのような生き方をしようとしているのかを、自分に語りかけてみることにしたらどうだろう?
中には、この世界的不況の中で、悪いのを他人のせいにして、亀のように頭を隠してじっと我慢しようと考えている人もいるかもしれない。
世の中のことは誰かに任せて、自分の好き勝手にしようとしている人。
盲目的に他の人がやっていることだけをやっておこうと考えている人。
自分の昨年の行動だけを振り返り、反省し正そうとしている人。
そんな中で、本来の生き方はどうあるべきかと考え、その生き方を試してみようとしている人もいるはずだ。
新年や、年度替りの時や、誕生日のように、新しい始まりの時にやってみるべきことは、 今までの生き方にこだわるのではなく、どのように生きればよいかを考え、それをどのように実行するかを決めることだと思う。

 
【解説】
 
不況だ!大変だ!と騒いで守りに入っても業績はあがらない。
人に頼っていても、自分が実現したいことはかなわない。
 
今の時代のように経済的に大きな問題をかかえ、人を大事にしないことがギスギスした人間関係を生み出し、 自分に自信が持てず、生きがいのある人生だと感じられない時であるからこそ、 自分を見つめなおしてみるのにいい時期なのだ。
 
自分が成しえたいことを整理し、実現するための方法を考え、積極的に行動し、成果を確認し修正を加えて精度の高い考えや行動に進化させる。
まさに個人が成長すると部門が成長し、会社が成長し、社会が成長するのだ。

 
 
この不安な時代の始まりのときこそ、自分の生き方の軸足を決め、人の利益になることを考え、 今までとは違う新しいことに取組んでみることが希望を生み出すのだと思う。
 
文責:斎藤顕一

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景気が悪くなっていることを恐れるな。戦いの姿勢を取って取組みを考える

新聞やテレビ報道を見ていると、生産台数の減少、季節工・臨時工の削減、売上と収益の下方修正、銀行の貸し渋り、などなど気がめいる話のオンパレードだ。
確かに売上が激減すると固定費の高い企業は一挙に赤字に突入する。
企業はそのために、投資を減らし、無駄なコストを削減する。
今回の場合は、一挙に悪化したこともありどのように対応してよいのかがわからず、コスト削減と合理化という守りに入っているようだ。
企業は臆病になることではなく、今回の危機を好機ととらえ体質強化に必要な取組みを行うべきなのだ。
対象とする顧客を明確にしたうえで、求められていることを徹底的に理解し、その期待値や満足を満たすために、“聖域”にこだわらず必要な取組を行うのだ。
まさに事業の原点にもどって筋肉質の経営体制を新規に構築することのみが、企業発展を約束するのだ。

 
【解説】
 
企業業績が大幅に下方修正されるなど、企業を取り巻く経済環境は悪化している。
 
消費者は耐久消費財の購入だけではなく日常の生活費の出費さえ控え、企業も設備投資や人に対する投資を抑制する。
これらの行動が世界規模で起こっていることで、景気はさらに悪化していく。
 
不景気なときにありがちな“コスト削減と合理化”という取組みで本当に企業は生き残れるのか?
それでは無理というものだ。
 
第一次オイルショックの時は“コスト削減と合理化”によって、乗り切った。
しかし、90年バブルが崩壊したときに、企業はやはりコスト削減と合理化を行い、その結果が“景気連動で成長は出来ても継続的に成長できない企業”を作り出したのではなかったのか。

 
 
過去の取組みの改善改良では成り立たず、コスト削減と合理化では生き残れない可能性が高いとするならば、企業はなにをするのか。
 
原点に戻るとはなにを意味しているのか。
それはターゲットとする顧客に戻り、ビジネスシステムを強化し、管理部門を含め継続的な売上増大を確実とするインフラの強化や、全社員の成長に向けた意識作りに取組むことを意味する。
 
それは戦いの姿勢を取る企業にしかできないことであり、いまこそ、その実現性を信じて改革の旗を振る必要があるのだ。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。

間違った社員への温情主義は会社を滅ぼす

人を大事にすることは素晴らしいことだ。
企業の業績が上がるか上がらないかは“多くの人の知恵と行動”によって影響を受けるため、人を大事にするかしないかはまさに企業業績の明暗をわけると言っても過言ではない。
人を大事にするとは、人に企業が目指しているビジョンを示し、それが実現できるような学びの機会を提供し、自分の能力を最大限に発揮できるようなチャンスを与え、貢献に対して次なる大きな貢献が出来るように報いることなのだ。
貢献することができなくなった人には別の貢献が可能とする領域を提供する。
これらの一連の取り組みを行うことで、初めて“人を大事にしてきた”と言える。
成長することを放棄している人を、単に過去の貢献だけで他の人に影響を与えるポジションに残し続けることは、実は人を大事にしていることではなく、むしろその人をダメにすることだけではなく、会社を崩壊させる道を選んでいると考えるべきなのだ。

 
【解説】
 
自分を成長させようと、知識を増やす努力したり、いい仕事をしようと工夫したり、人の話に耳を傾けたりする人を見るとなんだか楽しくなってくる。
将来になにか面白いことが起こりそうで応援したくもなる。
 
会社の成長には戦略的施策が必要であるものの、自分の成長を求めそれが結果的に会社の成長につながるはずだと考える人材がいるかどうかで、企業が大きな飛躍が出来るかどうかが決定される。
 
まさに、企業においては“成長することの意味”が単に自分の属する組織における出世という小さな目的ではなく、自分の価値を高めるためだと理解して、自ら苦労する道を選ぶ“人財”を作り出す必要がどうしてもあるのだ。

 
 
確かに、企業において成長することの重要性をなんとなく理解し、自分を高めたいと考えている人は、若い人を中心に結構存在している。
 
この人たちは、先輩の意見や人事部の考えを聞くことはできるものの、“どのようにすれば効果的に自分を成長させることが出来るか”の考えをしっかりと持っているわけではない。
 
そのため、経営者が人財開発に関して自分の言葉で“思想”を伝え、その思想を具現化するための具体策を示すことに期待するのだ。
 
多くの企業が、“本人任せ、現場任せ”の姿勢をとるが、その意味は、人を大事にすると言いながら、なにもしていないことを従業員に公言していることと同じなのだ。
 
企業の人材育成に対する取り組みは、単に思想を明確にするだけではなく、すべての人事施策が人の育成に軸足を置いた取り組みであり、貢献した人財に公平に報いることが大前提になる。
 
それが人事施策の根幹であるにも関わらず、“成長することを放棄して、なんら貢献できない人間を間違った温情主義で守る”ことで、会社発展の担い手となる人材を失っていくことに拍車をかける。
 
物理的に退職することも大きな損失ではあるが、可能性のある人材から成長する意欲を奪ってしまうことは、会社全体から“人を通じて企業を成長させる風土”を奪っていくことにつながり、その影響度合いは極めて大きいのだ。
 
大事な考え方は、意欲のある貴重な人財を育成することで会社の成長を達成することであり、自ら成長することを放棄した人たちを温情主義で守ることではないのだ。

 
文責:斎藤顕一

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問題解決はScienceでありArtである

「問題解決は直感の作業ではないし、思い込みの世界でも経験に基づいた作業でもない。問題解決はScienceでありArtである」という言葉は、1996年に「問題解決のアプローチ」という研修資料を作成したときに初めて使った。
コンサルティングで感じていたことは、問題解決の目的は、「企業の問題を解決し、業績を大きく向上する」ことであり、単に“素晴らしい分析を行って、優れた施策を立案する”というScienceの部分だけでは成果をあげることが難しく、“人の心”を十分に理解し、人に影響を与えるArtの部分がなければ成り立ちにくいということなのだ。
問題解決を可能とするためにはまさに全身全霊で取組むことが必要になる

今までコンサルティングを導入したものの成果があがらなかったんです、という声をよく聞く。これらの意見は決して資源の限られた小さい規模の会社だけではなく、売上げが数百億円、数千億円企業からも聞く。
 
とすると、これは企業の問題ではなくコンサルタントの問題か、あるいは企業とコンサルタントの相性の問題になるのか。確かにそのような可能性もなきにしもあらずだが、多くの場合は大きな飛躍を可能とする方策を“すべて”実施されていないことが原因だろう。

 
売上が上がらない原因は、競争力が低下しているからであって、それを強化するためには、バリューチェーンを見直す必要がある。
もちろん、自社のバリューチェーンだけを評価しても意味がないため、顧客や市場、競争相手の動向を理解し、本質的な問題点を理解する必要がある。
これだけでも膨大な作業量と洞察力が必要で、さらに売上げ増大のためのインパクトのある取り組みを考える力も不可欠だ。
 
論理的帰結として考え出された施策は、“高い確率で売上げが増大する”方策であり、それを確実に実行できたときに、成果は確実に現れる。
 
なのに、なぜ成果がでないか。これらの成果実現ための方策は今までやったことのない取り組みであり、新しいスキルや体制が必要になるのだ。
これらのインフラに関わることが未整備であることが、成果を生み出さない原因になるものの、最も大きな影響を与えるのは、“新しい施策に取組みたくない人”が数多く存在し、この人たちが成果をあげる上での阻害要因になるのだ。
まさに会社を変えるとは戦略立案だけではダメだということだ。

 
今までにやったことのないことをするということは、その会社のやり方に慣れ親しんできた多くの“経験者”にとって、苦痛以外のなにものでもない。
高齢者に“さあパソコンを使ってください”、というようなものだ。
 
施策を提示し実行計画をいくら作成しようが、成果をあげる主体は人であり、この人たちに“戦う姿勢をとらせる”ことが不可欠。
これは純粋に人の問題であり、ロジックの世界ではなく感性や感情が重要な役割を果たすArtの世界になるのだ。

文責:齋藤顕一

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情報収集はロジックである

本質的問題の発見を行うためには、「情報収集」、「分析」、「整理・統合」の3つの重要な作業の流れがあることをいろんなところで説明してきた。
問題の本質を理解するためには、“現在起こっていること”を、思い込みではなく客観的に理解するために必要な情報やデータを集め、分析することが不可欠となる。
しかし、必要な情報項目をどのようにして決定していいのかがわからないのが現実である。それではどのように必要な情報項目を考えるのか。
それには2通りある。
ひとつは分析するテーマに関して演繹的に分解していく方法。
もうひとつは、インタビューなどによって、特定テーマについての意見を聞き、それらの意見を共通項でグループ化し、それらを帰納的にまとめてまず結論を仮説ベースで決定する。
そしてその結論を演繹的に分解して、その結論を証明するために必要な分析項目を決定し、その分析に必要な情報を明確にするというやり方だ。
これらの方法を取ると、総花的に調べたり、思い込みで漏れのある作業につながることが防げるのだ。
これらの2通りの方法は、帰納法と演繹法を理解している必要があるため、情報収集はロジックと言えるのだ。

 
【解説】
 
物事を正しく判断するためには情報が必要であることは言うまでもない。
 
しかし、企業であれ、部門であれ、担当者であれ、直面している問題点を正しく評価するために必要な情報はなにか、という問いかけに対して正しく答えられる人たちはほとんどいない。
 
せいぜい自分の経験上、知りえてきた情報項目をあげることができるぐらいで、今まで知りえなかった情報項目をあげることはまず不可能だ。
 
それはロジックで情報項目を考えるということを教わったことがないし、演繹的とか帰納的という考え方になじんだことがないからだ。

 
例えば、「営業の問題点」に関して情報収集の必要な項目を演繹的に考えてみると、まず大項目として「販売力」、「販売支援体制」、「営業の意識」の3つに分けて考えられるのではないか。
 
「販売力」は、「営業個人別の生産性」、「拠点別・課別オペレーション」、「拠点別・課別投入資源」に分けて考えることが出来るだろう。他の項目についても同じように可能性の高い項目で分解して行くわけだ。

 
仮説を決めて情報収集を行う上でもうひとつ大事なことは、出来るだけ多くの顧客、代理店、自社のいろんな部門の人たちに意見を求めることだ。
それによって、問題の本質についてのあたり付けが出来るだろうし、重要な問題を漏れ逃す可能性が低くなるからだ。
 
聞いた意見をグループに分類するだけで、どんなテーマ(情報の大項目)が重要になるかがわかる。
そのまま分解してそれらを証明するための分析とそれに必要な情報項目を明確にしても良いが(ただし重要度については理解できない)、出来ればグループ化したものを要約してさらにそれらを要約することで、本質的問題が何になるかを考えたほうがよい。
 
そこから、また演繹的に分解し、情報項目を決定するわけだ。これらの作業は難しいとはいえ、問題の本質を発見するために必要な取り組みであるため、ぜひ学んで欲しい。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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