第5回:企業の成長の源泉となる“バリューチェーンの強化” とは? |

第5回:企業の成長の源泉となる“バリューチェーンの強化” とは?

第5回:企業の成長の源泉となる“バリューチェーンの強化” とは?


  
  
皆さんは、自分の働いている会社のバリューチェーンを描けますか?
  
  

バリューチェーン(VC)とは“会社が価値を生み出すために行っている事業の大きな流れ”

バリューチェーン(VC)とは、マイケル・E・ポーターが「競争優位の戦略」で1985年に提唱したビジネスのフレームワークです。事業を顧客にとっての価値を創造する活動ととらえ、それらの活動を分解し、競争優位を築くために各活動を分析していく考え方です。実際にビジネスの場で活用する場合には、“会社が価値を生み出すために行っている事業の大きな流れ”と捉えて、VCを描いてみるといいでしょう。

バリューチェーンこそが競争力の源泉であるため、各構成要素を競争相手よりも強くすれば、相対的な競争力があがり、シェアが伸びることになります。

シェアが上がれば、対象市場が成長しているなら売上も大きく伸びます。逆に市場が減少していたら、少々シェアをあげても売上は伸びにくい。その場合、業績を高めるためには、コストを削減し利益を増やすか、大幅にシェアをあげることが難しければ、対象市場を拡大し、新たな市場に参入することが必要になります。それも難しい場合は、新規事業を検討する必要もでてきます。
  
  

VCの各活動を具体化し、重要課題を発見することこそが問題解決につながる

VCを描くには、自分の会社の事業を、“時間の流れ”で考えます。メーカーなら、はじめに研究開発や製品開発があり、製品を作るための原材料や部品の調達や製造を行い、それを拡販するためにマーケティングし、流通チャネルを通じて販売し、購入者に満足してもらうためにアフターサービスを行う。というのが基本の流れとなるでしょう。

この、大きな流れを描いた後、そのなかでの重要業務を更に書き出します。次に、それぞれの業務をイメージしながら、なにがうまくいっていないのか?と考え、具体的な課題と原因を考えます。

これが上手くできると、根本原因が分かり、正しい解決法を考えることが出来ます。ただし、ここで表面的な問題しかとらえることが出来ないと、解決策は対症療法となり、業績を上げることは困難です。
  

  
  

客観的に課題の大きさを理解し、外部も含めてVC全体を強化することが大事

VCを強化し、売上をあげるためには以下の3つの視点が必要となります。
1.VCの各要素の課題を書き出すときには、KPIデータの分析を行って、客観的に課題の大きさを理解する必要があります。そうしたうえで、その課題の原因を徹底的に理解するのです。それが出来て初めて、効果的な解決法を考えることができるのです。

2.VCは、VC全体の価値を最大化することが大事なので、自社でやっても投資効率が悪いものについては、外部企業との協業を検討しましょう。すべてを自社で完結させることにこだわる必要はありません。強化すべき部分を決め、自社の強みに集中的に投資します。

3.VCの構成要素がしっかりと連携されていることが重要です。一つ一つの構成要素を強化させればさせるほど、自己完結して縦割りになりがちです。会社全体の最適化を考えて、各部門の連携体制を構築するのです。
  
  

新型コロナを乗り越えるためには、VC自体を柔軟に変化させることも必要

今回の新型コロナで危機を乗り越えようとしている多くの会社の特徴は、VC自体を柔軟に変化させていることです。飲食店が、店舗での営業の代わりにお弁当やテイクアウトメニューを作るのはバリューチェーンにおける“商品開発・製造”と “販売”の方法を変えているし、各地食料品“生産者”が従来の“流通”を通らず消費者に直接ものを“販売”しているのも例になります。今後はバリューチェーンをいかに市場の変化や顧客・社会のニーズに合わせて“柔軟”に変化させるかが、将来の成長に大きくかかわってくると言えます。
  
  

Tips ~やってみよう!考え方のヒント~

実際にやってみてください。バリューチェーンを時間の流れで考え各活動を具体化し、重要課題を発見することこそが問題解決につながります

文責:齋藤顕一

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