企業業績向上の3つの原動力

 
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1. 戦略 ―競争力を強化する「引き上げる力」―

企業が成熟市場で売上を上げ続けるためには、競争力を強化してシェアをあげるか、新しい顧客セグメントを発見してそこへ攻め込むか、新規の製品市場を創造するかぐらいしかありません。言うのは簡単ですが、実行は難しい。しかし、いくら今までの取組みの改善活動を行っても売上は伸びないので、対象市場の成長機会の可能性をしっかりと評価して、機会獲得のための施策、つまりは戦略を考え出すことが不可欠です。これが“1つ目の力”になるのです。
 
業績を向上させる“戦略”とは、“ 持続的な競合優位を達成するための取組み”です。
継続的に、他社に対する企業の優位性を維持するためには、単なる改善策ではなく、売上を上げることができない根本的な阻害要因を理解した上で、その会社の実力に見合った解決策を導き出さなければなりません。クライアントの中には“大逆転技”を期待される企業もあるのですが、実践しても成果を実現できないことは、提案できないのです。
 
具体的な戦略を立案するためには、まず自社が参入している市場の成長機会を理解することが重要になります。たとえ、参入している市場が成熟していたとしても、ある程度の市場規模を構成している場合はその市場の中で成長している分野を特定化することや、新たな顧客セグメントを発見すること、また新規に創造できる製品・サービス市場を見つけ出すことを行うのです。そのためには、基本的なデータの分析はもちろんのこと、クライアントの先にいる顧客を徹底的に理解することが重要になります。
 
市場の成長分野について理解したうえで、次は自社の競争力の源泉ともなるバリューチェーン(事業活動の流れ)のどこに問題があるのかを理解します。売上が伸びない原因は、バリューチェーン自体の各要素が脆弱化しているか、バリューチェーンの各要素の連携が撮れていないか、そもそものバリューチェーンの設計が間違っている可能性があるので、何が売上増大を妨げているのかを理解するのです。データ分析はもちろんのこと、クライアントの先にいる顧客にインタビューすることで重要課題の当たり付けを行います。ここでフォアサイトが開発した“質問力と対話力”のアプローチが貢献することになるのです。
 
 

2. インフラ ―組織・人事体制を押し上げる力―

普通、その売上を上げる取組みである戦略さえ立案出来れば、あとはしっかりと実行すれば成果が実現できるはずだと考えます。しかしながら、それだけでは不十分なのです。多くの場合、戦略とは今までの成功体験から導きだされたものではなく、全く新しい取組みになります。つまり、今までやったことのない取組みであるため、実践者である会社のメンバーにとって、どのようにそれを実践すれば良いのか、成果が出るのかが分からない場面に直面するのです。そのため、新たな取組みに必要なスキルを身に着けてもらうための教育であるとか、新たな取組みに成果をあげた人たちに対する評価制度、生産性を高めるために必要となるITによるサポートなどを整備することも重要になるのです。これをインフラと呼び、これが“2つ目の力”になります。
 
どれだけ画期的な施策を打ち出しても、せっかくの自社の売上を高めようとする努力が、組織構造や人事制度や独自の習慣や企業文化、また従業員の反対によって阻害され、失敗に終わってしまうというケースは非常に多く見受けられます。
 
業績を向上させるための試みが始まれば、それらの新しい取組に弾みをつけるインフラの整備が必要になります。ここで大事なことは、人事施策や組織や情報システムを変えることが目的ではなく、あくまで“戦略を実現するために必要な支援策”という視点で、立案するところにあるのです。
 
 

3. 人の巻き込み ―変革を意識し推進する力―

“3つ目の力”は何になるのでしょうか。それは戦略もインフラも実践するのは人であるため、出来るだけ多くの人たちの参加が望まれるために“人の巻込み”が3つ目になるのです。
私たちの仕事は、「クライアントの業績を上げる」ところにあります。そのため、単に売り上げを上げるために必要な戦略的な取組みの立案だけではなく、組織や人事また情報システムといったインフラ、さらには人の意識を変え仲間を増やすための取組みも考えるというところにまで広がっていくのです。
 
売上をあげるための取組みを実施していくのは、外部の人間ではなく、クライアント企業の“メンバー”です。出来るだけ多くの意欲ある人材が新しい施策に取り組むことで、初めて成果を上げることができるのです。
 
米国Gallup社の「仕事に取り組む熱意」に関する国際調査によると、仕事に積極的に取り組む人の割合は6%しかおらず、日本は139カ国中132位と報告されているのを見て驚きました。確かに、今までのクライアントへの取組を振り返ってみると、新しい取組みに対して積極的に参加する人の割合は少ないことから考えると、まさに成果実現のためには“仲間づくり”が重要であることを実感します。戦略を実施することに関しては、新しい取組みを行うことは、慣れ親しんできた仕事とは異なるために抵抗も大きいのです。その新しい取組みを実施することがなぜ大事なのか?具体的に自分の仕事がどのように変わるのか?どのように実践すれば良いのか?その結果、皆さんがどのようなメリットを得られるのか?などについて説明したりすることで、仲間を増やすことが重要になるのです。