問題解決はScienceでありArtである |

問題解決はScienceでありArtである

問題解決はScienceでありArtである

「問題解決は直感の作業ではないし、思い込みの世界でも経験に基づいた作業でもない。問題解決はScienceでありArtである」という言葉は、1996年に「問題解決のアプローチ」という研修資料を作成したときに初めて使った。
コンサルティングで感じていたことは、問題解決の目的は、「企業の問題を解決し、業績を大きく向上する」ことであり、単に“素晴らしい分析を行って、優れた施策を立案する”というScienceの部分だけでは成果をあげることが難しく、“人の心”を十分に理解し、人に影響を与えるArtの部分がなければ成り立ちにくいということなのだ。
問題解決を可能とするためにはまさに全身全霊で取組むことが必要になる

今までコンサルティングを導入したものの成果があがらなかったんです、という声をよく聞く。これらの意見は決して資源の限られた小さい規模の会社だけではなく、売上げが数百億円、数千億円企業からも聞く。
 
とすると、これは企業の問題ではなくコンサルタントの問題か、あるいは企業とコンサルタントの相性の問題になるのか。確かにそのような可能性もなきにしもあらずだが、多くの場合は大きな飛躍を可能とする方策を“すべて”実施されていないことが原因だろう。

 
売上が上がらない原因は、競争力が低下しているからであって、それを強化するためには、バリューチェーンを見直す必要がある。
もちろん、自社のバリューチェーンだけを評価しても意味がないため、顧客や市場、競争相手の動向を理解し、本質的な問題点を理解する必要がある。
これだけでも膨大な作業量と洞察力が必要で、さらに売上げ増大のためのインパクトのある取り組みを考える力も不可欠だ。
 
論理的帰結として考え出された施策は、“高い確率で売上げが増大する”方策であり、それを確実に実行できたときに、成果は確実に現れる。
 
なのに、なぜ成果がでないか。これらの成果実現ための方策は今までやったことのない取り組みであり、新しいスキルや体制が必要になるのだ。
これらのインフラに関わることが未整備であることが、成果を生み出さない原因になるものの、最も大きな影響を与えるのは、“新しい施策に取組みたくない人”が数多く存在し、この人たちが成果をあげる上での阻害要因になるのだ。
まさに会社を変えるとは戦略立案だけではダメだということだ。

 
今までにやったことのないことをするということは、その会社のやり方に慣れ親しんできた多くの“経験者”にとって、苦痛以外のなにものでもない。
高齢者に“さあパソコンを使ってください”、というようなものだ。
 
施策を提示し実行計画をいくら作成しようが、成果をあげる主体は人であり、この人たちに“戦う姿勢をとらせる”ことが不可欠。
これは純粋に人の問題であり、ロジックの世界ではなく感性や感情が重要な役割を果たすArtの世界になるのだ。

文責:齋藤顕一

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