営業の3つのスキル
営業の新しい3つのスキルを開発する 市場全体が大きく成長しているときには、単に商品・サービスの良さを売り込んでいるだけで結構売上につながった。
現在のように成長力が乏しい市場環境において、顧客の価値観の多様化が進むと同時に“賢い”顧客が増大してくると、おのずと営業にもより“賢明”な対応が求められるようになってきた。
このことに気がつき、早期に営業のスキル開発を行った企業が、強い販売力を持つことにつながるのだ。
(斎藤顕一)
【解説】
日本経済が成長している時代に、商品力や製品力で成長を果たしてきた会社は、当然その強みである商品・製品開発力で新たな成長を築こうとしてきた。
ただこのような、バリューチェーンの川上に位置する商品・製品開発力が強い会社の場合、その川下に位置する営業力はともすれば、弱くなる傾向があった。
強い商品・製品を提供できる会社の営業にとっては、優れた商品・製品を持っていたため顧客からの問い合わせに対応するという“待ちの営業”を行うことが当たり前のことになっていたためだ。
待っていても顧客が問い合わせてくる場合、対応力が重要で、顧客開拓力はそれほど重要ではなかったからだ。
成長している時代には確かに“アイデアベースの商品開発”や“シーズ中心の製品開発体制”でも成長する。
しかし、営業が顧客開拓というより、引き合いのあった顧客をいかに取り込むかだけに関心を持つようになると、大きな問題を生むことになる。
営業が担当している個別顧客の求めていることは理解できていも、“顧客の共通するニーズ”を理解することがまったく出来なくなり、“顧客のニーズをベースにした商品・製品開発が出来なくなる”ことだ。
元来、商品優位、技術優位であったため、強い営業体制を築くことが出来ず、それが結果的に“開発体制を弱体化”させるわけだ。
そのような状況を変え顧客中心のバリューチェーンを構築するためには、求められる営業の像を明確にしたうえで、出来るだけ早い時期にその役割を担えるように育成することが大事になる。
どのような役割を果たすべきなのか。
営業には大きく分けて3つの役割があり、そのスキル開発を行うべきだ。
一つ目は、もちろん既存の商品・サービスを売ること。
二つ目は、次にどのような商品やサービスを提供すればいいのかの情報を顧客から獲得し、共通したニーズを理解した上でそれを開発に伝えるという重要な役割だ。
三つ目は、顧客に正しい質問をし、その答えについて新たな質問をすることで、顧客も自分も気がつかなかった“新しい需要”についての考えを生み出すことだ。
相手のニーズを理解することは製品の改善・改良を行う上で重要ではあるが、お互いに気がついていない“隠れた需要”を探し出すことは成長のサイクルを考える上で極めて重要となる。
これらを達成するためには、営業にも問題を発見する能力や正しく質問する力、人間力を磨くことが重要になることは言うまでもない。
文責:斎藤顕一
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