7月, 2008 |

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教育プログラムも業績向上の視点から考える

今までの“成功体験や経験”だけで、事業運営を行うことが難しくなったためか、企業は管理職や一般職の教育により熱心になってきた。
確かに企業の意識としては社員教育の充実に向けて進んでいるのではあるが、“ある明確な目標を持って人材教育を体系的に考えている企業”はまだまだ多くはない。
人材育成に熱心な企業では、担当部門である人事部や総務部が、プログラムの内容や、誰がどのようにいつ実施するのか、などを考えるのであるが、どうしても総花的になってしまう傾向がある。
ともすれば“育成”することが目的であることを忘れてしまって、“教育プログラムの実施”が目的になってしまったりするからだろう。
本来教育プログラムは、マナーやコンプライアンスなど社会人として基本的に学ばなければならないものは当然含めるとして、会社の業績向上に貢献できる人材を育成することが重要であり、そのためのプログラムを設計する必要がある。
会社の業績向上とは、優れた戦略や卓越したオペレーション、社員のやる気のマネジメントなどを実現させることからなっており、教育プログラムはそれらを学べるものでなければならない。

企業での研修プログラムというと、新入社員教育、管理職研修、また階層別研修、機能部門別の研修など、人材育成に熱心な会社であればあるほどプログラムの種類は多岐にわたる。

企業における人材育成の目的は、“世の中の役に立つ人材育成”や“良き企業人”というような抽象的なものだと、育成プログラムは自然に総花的にならざるを得なくなる。

総花的な研修しか提供されないと、社員も自ずと“研修を受けさせられているモード”に入っていく。このような状態になると研修に対する投資効果は大きく低下することになる。

人を“使う”ことに熱心で、“育成”することに興味のない企業は論外であるものの、社員の育成を真剣に考えるのであれば、まず自社のクセや継続的な成長の阻害要因となっている重要な問題点を理解し、解決のための施策を考え、それに基づいて人材育成を考えるのが正攻法といえる。

社員にとって自社の企業業績を高めることに貢献できる考えやスキルを学ぶことは“個人の達成意欲を刺激する”ことでもあり、教育を受動的に捉えるより積極的に考えるようになることも大きなプラスといえる。

教育プログラムの内容を考えてみると、当然“競争優位を持続させることが出来るような施策”を考える問題解決スキルは必要であるし、それらの施策を他のメンバーに伝え行動に移させるスキル、つまりは“演繹的に考える力”や、“コミュニケーション力”、“リーダーシップ”など、も大事なプログラムと言える。

と同時にもっとも重要な“考えの軸足をどこに置くか”というような、個人の姿勢や生き方を決定させる上で重要な“価値観の形成”についても学ぶ機会は“歯車的人材を造らない”ためにも不可欠な要素となる。

文責:齋藤顕一

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