顧客中心の営業活動に戻って既存製品の拡販を行う
顧客中心の営業活動に戻って既存製品の拡販を行う。
【解説】
現在のように売上が簡単に上がらない時代になればなるほど、営業は既存製品の値下げや、新製品の登場を渇望する。
もちろんその新製品が圧倒的強みを持っていたら万々歳であるが、強みがあろうとなかろうと、ともかく“新製品”と名のつくものが出るだけでも“営業トーク”がやりやすくなるので新製品は不可欠要素ととらえるようになる。
ただ現実的には、多くの“新製品”なるもので新たな需要を創造できるような製品になることは珍しく、単なる改善・改良型の新製品開発であれば、むしろ既存の製品の置き換えに繋がり売上自体は大きく成長しないことが多い。
とすると、新製品開発は別途進めるとして、まずは売れなくなってきている既存製品をどのようにして拡販するかを見極めなければならないことは自明の理だ。
売上が減少してくるのは、市場全体が冷え込んでいることに加え、競争相手も必死に戦いを挑むためシェアまで低下させるためだ。
営業は当然、競争相手の取組みに敏感であり、敏感であればあるほど相手の“新製品”や“価格”が見えるようになる。
“営業の質”の部分が見えないこともあり、質よりも見える製品や価格、訪問回数などで対抗しようとすることになるわけだ。
競争相手の“見える取組み”を理解して対抗策を考えるよりは、自分達の営業活動が本当に顧客中心になっているかどうかを見直して、顧客中心の取組みに変更することが売上げをあげる正攻法といえるのだ。
企業の資源は限られているし、顧客ニーズの多様化も進んでいるため、すべてのお客様の満足を満たすことはできない。
とすると顧客中心の営業活動の大前提は自分達の顧客を決めることをまず第一にやるべきことなのだ。
顧客を特定できれば、“顧客の顔”が見えることでより成功確率の高い対応策を考えることができるようになる。
顧客を決める場合も、個別顧客に対応してもコストばかりかかるので、同じようなニーズや購買行動を取る“顧客のかたまり”を発見して、その人たちをターゲット顧客としてその人たちが求めていることを徹底的に理解することで”売上げの規模“を高めるのだ。
なにを求めているのかがわかると、その満たされていないニーズを満たすために、顧客のどの部門の人たちに会うべきなのかを決めることができる。
購買部門は直接の窓口なので、もちろん訪問主要対象部門ではあるが、顧客の本来のニーズは購入する人ではなく使う人であるため、その人たちにアプローチすることも重要なのだ。
顧客のニーズが分かれば、なにが訴求ポイントとなるかがより理解しやすくなるため、より効果的な提案書を持っていくことができるようになる。
さらに営業の“質問し、相手の質問に答える技”を磨くことで、飛躍的に商談の成功確率を高めることができる。
顧客の課題や満たされていないニーズを理解し、それらについての考え方を営業が示すことで本当の意味での信頼感を得ることにつながり、それが結果として売上増につながることになるのだ。
文責:斎藤顕一
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