売上を上げるためにはまず国内を見直してから
調べてみて驚いたのですけど、これだけグローバル化が重要と言われながらなんと日本の上場企業の81%は輸出比率が25%以下で、国内市場を主要な事業領域とした事業展開を行っている。
しかも、国内製品市場の多くは成熟市場であって、その中で売上を継続して上げていこうとするわけだからハードルはかなり高い。
それでは比較的成長している海外市場へ行くかというと、もともと海外に売上を増大させるためのインフラを構築していない企業が、まして海外事業を運営できる人材が社内に育っていない場合は、海外で売上を増大することはかなり困難と言える。
とすると、まずは自分達が良く知っている国内市場を再度徹底的に分析し、拡販の方法を探し出すことが最善の方法になるわけだ。
シェアの低い下位企業にとっては自社のバリューチェーンの見直しだろうし、シェアの高い企業の場合は販売力と製品・商品開発力の徹底強化による新市場の開拓を検討すべきだし、それこそ自社だけでもだえ苦しむのではなく競合会社との連携による生き残り策も含めて検討すべき時期にあると言える。
【解説】
多くの企業は国内中心型であって、国内市場の成熟化に伴って売上を伸ばすことができないのが最大の問題点とされている。
海外で戦う選択肢を考慮して準備を始めておくことは良いが、成長市場に目を奪われるのではなくまず自分たちが熟知している国内市場において売上を継続的に伸ばす体制を整えることが先決。
シェアが低い会社にとっても競争相手から売上を奪える可能性は常にあるわけで、バリューチェーンの販売力の見直し強化を行うことで売上増加が可能となるため、まずここから取り組むのが定石。
またいずれの場合も取組みの大前提として、今までの「初めに製品ありき」からスタートしていた販売体制ではなく、「初めに顧客ありき」というように意識を大きくシフトさせることが重要となる。
つまり、今、販売している製品をどう売るかではなく、まず対象顧客を再度定義づけた上でそれらの顧客が求めていることを十分に理解することを行うことなのだ。
そうした上で、顧客が求めていることに対して、自社の製品開発、調達、生産、マーケティング、販売やサービス活動を再設計すると同時に、これらの戦略的な取組みを支援する業務部門の重要活動を見直すわけだ。
自社で競争力を強化できる場合は変革を促す強いリーダーを中心に努力することでも良いが、戦略実現が自社で困難な場合や、間接部門の生産性を向上させることが困難で、人の危機意識レベルも改善しようがない場合、外部のプロを活用することで競争相手や補完企業との合従連衡を行うことなどの選択肢について検討することが求められる時期になったといえる。
文責:斎藤顕一
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