6月, 2011 |

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「今さらですが、問題解決は実学です」

先日、取材で「これだけ問題解決が重要視されるようになって来ているのに、なぜ大学で積極的に教えないのですかね?」という質問を受けた。

その時、私が思いついた答えは「普通、大学では学問を教えるけど、問題解決は学問ではなく実学だからなのでしょう。

実学なので学問を究めようとしている学者には教えられない。

日々、実業において問題解決に取組んでいる人から学ぶしかない。

もちろん、問題解決に取り組んでいる人が教え上手とは限らないけどね」だったのです。

だからこそ、アプローチやフレームワークをただ覚えるのではなく、「問題解決の考え方」をしっかりと学ぶことが重要であり、その考えを実業の世界で実践して、試行錯誤し自ら会得することしかない。

“問題解決の考え方”はビジネスだけではなく、大学経営、自治体経営、それこそ同窓会や町内会のような小さな組織にも使えるので、現場で学んだ考えを試し、結果について考え、またやり直すことをやり続けてもらいたいものだ。

一般の大学の経営学部教授や学生の話を聞いていると、彼らが教え学んでいることは、私が考えている「問題解決の考え方」とは随分と違うらしい。

私にとっての「問題解決の考え方」とは、企業の業績を向上させる上で「なにが本質的な問題なのか」、「それを解決するためにはどのような取組みをすべきなのか」を見極め、成果を創出するところにある。

要は「業績をあげることが出来るか、出来ないか」の話であって、「このような取組みをするとうまく行く可能性が高い」というように、一般的な理論や取り組み方を学んでもらっているのではない。

そもそも、そのような一般論によって企業業績をあげることが出来るわけではない。

個別企業にとっては、その会社を取り巻く競争環境も違うだろうし、その会社の実力度合いも、人のやる気度も千差万別であって、ひとつの理論や方程式で問題を発見でき、そして解決の方法を導き出せるものではない。

まさに、事実に着目することや、顧客を観察し顧客から学ぶこと、そして従業員や管理職の気持ちを理解することなどを含めて考えることで、初めて「問題解決の考え方」が実践できることを意味する。

企業業績向上の阻害要因は、それこそ無数に存在する。

現場において発見した多くの“問題点”についてなぜそのようなことが起こったのか、その問題の源はどこにあるのか、を考え続ける。

それを発見して、解決法を導き出すのは、まさに「実学」の領域である。

「問題解決の考え方」は、記憶すれば済むものではなく、その考えを現場で使い、試行錯誤することで初めて自分のモノになる。

その一連の“考えること、考えを人に伝えるために表現すること、そして考えを行動に落とし込む”取組みに周りの人が良い影響を受け、結果的に頼られるようになる。

これが実学によって得られる成果だと思う

文責:齋藤顕一

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