情報収集のアプローチ次第で、目的達成が出来るかが決まる。もっとも重要な能力の一つ
情報収集は“どこのスーパーの大根が安いか?”、から“受験にはどの塾が良いのか?”などの身近なことから “売上が伸びない原因を知るために必要なデータはなにか?”などビジネスまでもカバーする、すご~く重要な活動ですよね。
最近の傾向としては、“ビックデータ”、“データサイエンス”が日常の言葉として目につくようになり、企業業績を高めるためにも必要だし、日常生活を豊かにするためにも理解することが大事と、データや情報が、ますます重視されるようになってきています。
でも、どのような情報を、どのように情報を集めると、本当の目的を満たせることができるかを、知っている人は極めて少ないのです。良い信頼できるデータは高く売れるということも、よく知らないのです。
正しい結論を導きだすには、正しい情報がないと無理なのです。今回新型コロナの影響でもメディアの出す情報の信憑性などについて書かせてもらったのやけど、情報は取り扱いに注意が必要やね。
最近では、UNDPがコロナ情報4割しか信頼できないと警鐘を鳴らしたりもしています。
解決されていない企業の情報収集の問題は多すぎる
さて、企業の業績に大きな影響を与えるデータや情報の収集に関してですけど、ひと昔の前と同じように、企業の問題は解決されておらず、いまだに多く存在しています。
①重要性への意識の低さ
② 正しい情報収集法を知らない
③ 専門性の担当者の不在
これらの問題が、情報量の肥大化と偏りによる混乱を引き起こしているのですけど、それに気が付いていないのです。情報は簡単にネットなどで手に入れることが出来るために、知る必要のない情報を取りすぎることや、自分の部門や自分にとって都合のよい情報だけに焦点をあてるため、情報量は増える物の、企業の業績が上がらない原因を知るためにデータや情報がわからないため、なんら成果につながっていないのです。
基本に忠実になれば、問題解決における情報収集はそれほど難しいものではない
では、問題解決における情報取集については、どのようにすればいいのでしょうか。まずは、やはり、必要な情報の目的を明確にし、フレームワークで必要情報を明確にして収集するという基本を忠実に実行することです。
情報収集をするにあたって(なんでもそうですけど)、最初に目的をしっかり決めるとその後のアプローチが非常にスムーズになります。
企業において改革プロジェクトを実施する場合は、「企業の業績向上施策を考えるのに必要な、売上・収益性・生産性・シェアに関するデータ、とそれらの数字の原因となる情報やデータ」と、考えるのです。
次に具体的に、どんな情報を集めるかですが、3C(市場・競合・自社)のフレームワークでとらえるというのも一つの手です。
市場の情報収集は、“大きな市場から小さな市場”、“長期の時系列”、“自分たちの強みから考える”から始める
今回は市場についての情報を集めるときに重要な考え方を説明します。
①最初から細分化した製品情報ではなく、大きい視点でまずは、自社の参入市場全体を見ます。“大きなところから小さな市場”をみていくのです。代替品市場があるならそれも見ておきましょう。最近は市場の情報がないというよりも“ありすぎる”ので、いくつか官公庁や業界団体の統計書を比較して選ぶことは基本になります。
②次に、市場を“長期の時系列の推移”を見ます。時系列で市場の動向を追うと自社が参入しているのは成長市場か、それとも衰退市場かがわかります。そして、自分たちの戦う市場をさらにミクロでみてみる。衰退市場だからといってミクロで見た場合チャンスがないわけではなく、たいていの場合チャンスが残っている市場も存在しています。
③対象にしている市場をさらに、製品市場別に分解して規模や成長度合いを理解していきます。その際に、“自分たちの強みの活かせる市場で確固たる地位を築くことを意識”してみてください。これは統計書の分析なので、スキルのある会社は誰でもできるのです。
例えば、規模と成長度合いを分類し、製品市場別に分解して規模や成長度合いを理解していく。自分たちにとって、どの市場が重要なのか、が可視化できるということなのです。
顧客の情報取集を正しくできると誰も気づいていない成長機会獲得につながる
市場の中に、もちろん顧客も含まれています。市場の数字は顧客の購買行動の結果なので、顧客の分析が正しくできると誰も気が付いていない市場セグメントを発見することが出来て、成長機会の獲得が可能になります。
①新たな成長を達成したいと考えるときは、とにかく、顧客の満たされていないニーズや期待を十分に理解することが不可欠。つまり、自分たちの製品やサービスを売るのではなく、顧客が求めているものを理解し、どのように提供するかを考えることが重要となります。
②顧客とは、普段取引をしている会社だけではなく、その先の最終消費者も含みます。その人たちのニーズを現場で聞いたり、観察を繰り返し、顧客を理解する方法が身についてくると、単なる年齢・性別の属性分類ではなく、よく似たニーズを持つ顧客のグループの存在に気が付く、それが俗にいう戦略的顧客のセグメンテーションになります。
③ 顧客から学ぶというのは、自社商品を売るヒントを得るためではなく、顧客に提供できる価値を創出するためです。新しい商品コンセプトやサービスコンセプトを開発することや、価格以外で提供できる価値を新たに作り出すことが重要になるということです。
今日のtips
市場の成長率と市場規模で分類して、自社の対象市場の評価をしてみると新たな攻略法についての発見があります。同じ考え方で顧客の評価もできます。自社にとって最重要顧客、重要、維持、低優先など、色付けすることで、対応の仕方を変えて効果と効率を高めるのです。
文責:齋藤顕一
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