競争力強化のためのバリューチェーン
今のようにGDPがほとんど伸びない経済環境では、売上を伸ばし続けることが企業にとっての大きな目標となるが、その中でも企業が特に重要と考えていることは競争企業に比べてより高い成長率を達成することだろう。
その実現のためにと、企業はすぐに販売力の強化を考えるが、これだけでは決して正しい取組みとは言えない。
他社より売上をあげるためには、シェアを増やすことが大事である。
シェアとは競争力を強化することであって、販売力以外の要素も多くの場合、強化することが求められるのだ。
まずは自社のビジネスシステム上の問題がどこにあるのか、また各ビジネスシステムの要素は連携がとれているのか、などを検証し優先度をつけて取組むことが重要となる。
(斎藤顕一)
【解説】
経済成長が鈍化すると、多くの企業の売上も思うように伸びなくなる。
企業はコスト削減やリストラに取組むものの、それは活動制限につながることが多く人の意識に悪影響を与えることは否めない。
そのため、企業はなんとしてでも売上を増大させようと努力する。
このこと自体は正しいが、よくあるケースは売上を増大させるために“販売力の強化”だけに取組むことだ。
売上増大施策の優先度を考えた場合、販売力の強化はすぐに成果につながりやすいという観点では正しいものの、販売力を強化しただけでは売上を継続的に増大させることは出来ないことを理解すべきだ。
競争相手に対して優位性を確保しない限りシェアは増大しない。
つまり市場が急激に成長していない限り、売上を増大させることはできない。
シェアとは競争力の度合い、つまり強さを表しており、競争力とは販売力だけではなく、製品開発力、コスト競争力、マーケティング力やサービス力も重要な要素となる。
ここで大事なことは、競争力を強化するために“競争相手”と自社を比較する以上に“顧客がなにを求めているかを理解する”ことなのだ。そうすることで、なにを強化すればいいのか理解できるようになるのだ
ビジネスシステムはバリューチェーンとも呼ばれており、それぞれの要素を強化したとしても全体が連携していなければ“競争力”は高まらない。
企業が提供する価値は、ビジネスシステムの各要素が強化され、それらがまさに“鎖のようにつながって”(バリューチェーン/Value Chain/価値連鎖)初めて大きなものに変わるといえる。
文責:斎藤顕一
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