改革のためのハードランディング
新しい変革の取組みを実行しようとすると、経営陣も現場の人でさえも、「いきなり今までとは違うことはちょっと・・・」、「何事にも順序が・・・」、「他の部門の人が入ってくると難しいことが結構あるんで・・」と、何とか穏便に物事を運ぼうと“ソフトランディング”に持っていこうとする。
変革を行うときにはソフトランディングは無理で、それを志向すると、ゴールに辿り着けなくなるだけではなく“途中墜落”で終わってしまう。
“普通の会社”が、厳しい市場で勝ち抜き、成長し続ける強い会社になるためには、“今までやったことのない厳しい取組み”を実践する必要があり、それは“ハードランディング”に成らざるを得ないことを認識すべきだと思う。(斎藤顕一)
【解説】
確かに、物事を穏便に進めようとするのは間違っている取組みではありません。
むしろ決定した“取るべき正しい取組み”を出来るだけ実現しやすい方法で取り組むのは当然のことなのです。
ただし、会社の業績を向上し続ける取組みとなると、今まで成しえなかった難しいことを実現させる必要があり、その“困難な道の入り口”で「どうなるか先が見えないし、しんどそうだし、難しいそうだからな」と、その入り口を避けて別の“やれそうな楽な道”を行くわけにはいかないのです。
なぜなら、入り口が違うとゴールはまったく違うものになってしまうからです。
身近な例をあげると、「施策は考えた、組織も変えた、でも管理者は同じ人」、ということがあります。
業績向上を可能とする施策を考えたとすると、当然それを実現させるための組織や仕組みを考える必要があります。
施策は、今までやったことのない新しい取組みであり、当然、組織や仕組みもまったく新しいものになります。
ここまではいいのですが、この新しい取組みの管理者(リーダー)となる人が、今まで業績を上げることが出来きなかったその部門の上級管理職となってしまうのです。
それで、取組みは成功するか?
・・・無理なんです。
なぜかというと、その人が問題をしっかりと認識していたら、その会社全体がダメだとしてもその小さな組織は成功を収めていたはずなんです。
でもそれができなかった、それはその人の能力がないと言うのではなく、昔は成功出来ても新しい取組みには不向きということで、監督交代が必要なのです。
しかしながら、多くの場合、その人は上級管理職として存在してきたわけで影響力があるため、その人を再度責任者として残すほうが(ソフトランディング)、新たなそれなりの実力のある、でも上級管理職としてやれるかどうかわからない人を抜擢する(ハードランディング)より選ばれてしまうんです。
さて、ここで「取組みの失敗」以上大きな問題が起こります。皆さんおわかりでしょうか?
そうです、単に上級管理職であるが故にその人を選んだことで、新しい取組みにやる気満々だった人も含めてみんながその“変革への取組み”に疑問を持ってしまうのです。
ハードランディングすら恐れない心と気概を持ち、実現に向かって戦う心がいかに重要かということですね。
文責:柴田祥子
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