5月, 2008 |

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判断力を養う

判断力はビジネスの現場だけではなく、日常生活で求められることも多く、その能力を持っていることはかなり高く評価される。
判断する能力があるということは、決断力があることにもなるからだ。判断力を求められる場合とは、多くの場合どうしていいかわからない困った状況で決断を求められるときであり、ともすれば単にYESあるいはNOで答えることよりも、みずからの考えを求められるために、困難さを感じることになる。
そのため、“判断すること”を避けるために、そのような役割を担うことを拒絶したりすることも起こる。
それでは、どのようにその判断力を増せばいいのか。
それはロジックでじっくり考えて判断するというよりも、反射的な対応が必要であり、結局は自分なりの判断基準をどう持つかが重要となる。
その判断基準とは、自分の体験の積み重ねによって生じるものであるため、判断力を養うためには、状況を理解し、考え、行動し、その行動が正しかったかどうかを検証することを絶えず行う必要がある。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
ビジネス現場で決断しなければならない場面は、役職や責任が重くなればなるほど多くなるし、そこで優柔不断になることはリーダーとしては許されない。
 
決断しないことは、企業にとって競合優位を維持する上で重要な“スピード”を削ぐことを意味するし、それ以上に大事なことは部下からの信頼を失い、リーダー不在の個人任せの組織になってしまうからだ。
 
正しい決断とは正しく状況を判断することから初めて可能となるが、どのようにすれば状況を正しく判断できるのだろう。
 
状況を理解するために当事者の話をしっかりと聞くことや、事実ベースのデータを分析する余裕があれば、より成功確率の高い判断を下せる可能性は高くなる。

 
 
しかし、現実的には即断・即決を求められることが多い。その場合は自分の判断力に従うわけだが、それを磨くためには“本から学ぶこと”ではなくて、“自分の体験から学ぶ”必要がある。
自分で考え、行動しそれで成功した場合を“判断基準”として採用するわけだ。
 
私はその時の考え方や行動の仕方を“成功のための原理原則”と呼んでいる。
それは決して、細かい具体的なことではなく軸足となるものなのだ。
 
例えばそれは、「顧客の利益を自社の利益より優先する」、であったり「困難に直面したときは、逃げないでチャレンジしたほうがダメッジは小さい」、「提供者の視点ではなく、受益者の視点で考える」、「売上や利益などの数字は行動の結果なので、数字達成の方法を正しく知らせない限り本当の成果はあげられない」などである。
 
そういったものは、自分なりに考え、行動した結果として学習したものなので、その判断基準に対する絶大なる信頼があり、判断が求められるとき正に体というか頭が反応することになるのだ。

 
文責:斎藤顕一

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