8月, 2010 |

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企業にも“経営の総合診断医”が必要

企業業績がなかなか上がらない。
コスト削減はそろそろ限界にきているのに、売上げをあげる方法がわからないからだ。
消費者の節約ムードや値下げ競争がさらに需要を押し下げ売上が低迷する。
現在のように売上げが上がらないと“問題点に対する感度”が高まるだけでなく、 自部門だけではなく他部門の問題点がより目に付くようになる。
自部門の問題については正しいか正しくないかは別としても、 問題解決に取り組むことは出来るが、 他部門は“別の組織”であるために部門長どうしが話し合うことがあっても干渉することは非常に難しい。
企業は価値を生み出すために事業部門だけではなく間接部門も含め、 全組織が連携することが大前提になっているため、単に部門の問題に縦割りで取り組むのではなく、 業績が上がらない問題の本質を見極めたうえで、 それらの問題に関わっている部門の問題を優先的に解決することが不可欠といえる。
それはまさに、目が見えにくくなったから最初から眼科に行くのではなく、 目が見えにくくなった問題の本質を総合診断医にまず見極めてもらい、 その本質的な問題を解決できる専門医の治療を受けるのと似ている。

 
最近、医療の世界では「総合診断医」の重要性が取りざたされている。
 
一説では「総合医の診断を受けた上で、専門医の治療を受けることで医療コストの三分の一程度削減できる」 と言われるぐらいインパクトが大きいようだ。
患者の思い込みで診療科を選んでしまうため、 もちろん病気は治りにくく、延々と治療と薬剤投与を受け続ける。
 
 
企業においても同じことが起こっているとも言える。
 
企業の事業部門に関しては売上管理とか収益管理が行われているため、 目標を達成していない部門は「問題部門」であり、 部門長は目標達成を目指して取組むことを期待されている。
 
もちろん担当部門が売上拡大を目指して一生懸命取組んでいないこともあるので、 もっとうまくやれるようにみんなで工夫して活動することは出来るが、 それでは期待通りの成果はあげきれない。
 
なぜならば、リーマンショック以降の市場環境では、 多くの企業の業績が上がらないのは一部門の問題で解決できることではなくて、 全社に関る問題が大半だからだ。全社の状況をしっかりと診断して、 なにが業績を高めることを妨げているのかをまず理解し、 その問題を解決するために関連部門を横断した取組みをしない限り強い体制を持つ企業を作り上げることは困難であり、 この不況のあとにおいても大きく業績をあげることはできない。
 
結局、「問題解決の考え方」を学び実践できる人が、 全社の問題に取組むことを期待されているということなのだ。

 
文責:斎藤顕一

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