軸足を定める |

従業員満足を高め企業業績を向上させる

「従業員満足を高めない限り、顧客満足を高めることは出来ない」と言われる。
これは従業員満足がない限り、いくら接客法や顧客が喜ぶ方法を教えたところで成果は上がらないという意味だ。
確かに、従業員が自分の会社や仕事に不満を持ち、自分の仕事に一生懸命に取り組んでいないとするならば、お客さんや上司がその従業員に感動するわけではなく、まして信頼感を持つわけがない。
それでは、従業員は何によって満足するのか?
おそらく重要な切り口としては、①会社の仕事に意義を見出せるか、②人間関係に良循環を生み出す要素があるのか、③貢献したときに報いがあるのか、の3つなのではないか。3つともすべて揃っていれば顧客満足を高める可能性が極めて高くなるだろうが、1つしかない場合はまず無理だろう。
会社に“人を大事にすることで業績を上げたい”という意思と行動力があれば、これらの3つを満たすことはそれほど難しいことではないが、“人を大事にする”という意識がないとするならば従業員による価値の向上はないと考えたほうがよい。

 
【解説】
 
従業員満足と言うと“甘やかす”と思う人がいるかもしれないが、甘えとはまったく無関係で、むしろ従業員の意欲やモチベーションと関係している。
 
会社はなんらかの形で社会貢献するために作られているだろうし、開発であれ営業であれ、総務であれ、すべて会社の“使命”を達成する上で重要な役目を持っており、それを明確にして仕事に意味づけをしているか、していないかで①が決定されるだろう。
 
②の人間関係の良循環とは、価値観も性格も違う人の集まりがひとつのチームとして仕事をするわけだから“好き嫌い”関係は発生するし、珍しくもないとは思うが不公平な上司も存在する。たとえ“嫌な人間たち”が周りにいたとしても、その逆境をプラスに変えることのできる“良い人間たち”が存在しているかどうかと関係している。
 
③の報いとは、“評価に反映される”、“みんなの前で褒められる”、“ボーナスが支給される”など、本人の貢献を“認知”し、その“認知の証”を示せるかどうかということだ。
 
従業員を“使い捨てのコマ”と考えている会社には、これらの3つのことに対する配慮が出来るわけがない。
会社が実現したいと考えている夢やビジョンの実現は、自己育成の機会を獲得する従業員のみによってそれが達成されると信じている会社だけに許されることなのだ。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。

顧客の信頼を獲得するために自分の時間、お金、エネルギーを使う

「顧客ニーズに応えることが大事」とか、「顧客が期待していること以上の サービスを提供する」ということは企業業績を高めるためにはすごく大事なことではあるが、それを実現することは極めて困難といえる。
それは対象顧客セグメントを決めるという基本的な活動をベースに、顧客ニーズや顧客が本当に期待しているものはなにかをまず見極めることを行う必要があり、それが困難だからである。
顧客を理解する活動は会社として継続的に進めていく必要があるものの、実は日常生活における行動によって1人の顧客の関心を得ることができるし、それが結果的に多くの顧客からの支持をうけることにつながる。
つまり「当たり前のこと」を確実に行うことや、「相手の人がきっとそんなことは起こらないな~と思っていること」とか「相手が想像もしていなかったこと」をやってみることで感動を生み出すことが出来るし、それを継続して行うことが出来るようになると結果的に“顧客からの信頼”を獲得することが出来るのだ。

 
【解説】
 
顧客を理解し、顧客が求めていることに対応すると、顧客の信頼を獲得し企業業績は確実にあがる。
 
顧客を理解し信頼を獲得する活動は会社として継続的に取組むべき活動ではあるが、顧客の信頼を得るために個々人がやれることは結構ある。
 
当たり前のことを確実にやることでは、「お礼はその日のうちにしておく」とか、「約束は絶対に守る」とか、「服装を正すことで敬意を表す」とか、「顧客に対応する時には、顧客の言葉に集中しなんとしてでも応えようと努力する」など、思いつくだけでもいっぱいある。
 
それでは相手が想定していないこととはどんなことか。
 
「土日で会社が休みなのに対応してくれた」、「深夜にも関わらず返答してくれた」、「手弁当で取組んでくれた」、「無理な注文にも出来る範囲を広げようと必死に努力してくれた」など、普通個人が最重要視しがちな自分の「時間」、「お金」、「エネルギー」を犠牲にして顧客に対応しようとすることが、確実に感動を与えるし、その積み重ねが「信頼」につながっていくのだと思う。
 
「給料分だけの仕事をする」、「就業時間だけしか仕事をしない」など、顧客を考えるよりも、自分中心に考える人間が顧客の信頼を得ることは不可能と考えるべきだろう。

文責:斎藤顕一

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人の信頼を得る

お客様と直接関わり製品やサービスを購入してもらう営業職や接客業の人たちにとって、どのようにしてお客様の信頼を得るのかは重要な関心事だ。
もちろん、ほとんどの人は、他の人との関わりを持ちながら人生を過ごすわけで、その意味からいうと「人が人の信頼をどのように得るのか」というテーマは誰にとっても大事な関心事といえる。
信頼できる人の共通点とはなんだろう。
それは、その人の持っている“強み”が、他の人にとって“良いところ、価値あるところ”と認識されており、それがどんな場合でも“ぶれない”人ではないだろうか。

 
【解説】
 
お客様との信頼関係を築こうとか、信頼される人間になろうということはよく言われる。
 
しかし、言葉としては使うものの、信頼を得るために自分はなにをするべきか、などと考えることはあんまりないだろうし、信頼されることを目指して行動を変えるということは滅多にないだろう。
 
それは“信頼”の重要性がわかっていても、どうすれば良いのかがわからないからだろう。
“信頼”とは決してテクニックで得られるものではない。信頼とは自分の価値観から生まれるのであって、その価値観を伝えるためにきっとテクニックがあるのだと思う。
 
だから、顧客を大事にしない人や他人を大事にしない人の言葉は、どんなに美しくても心は動かされない。

 
信頼される営業の要素のひとつとして、「商品に関する知識が豊富で顧客の疑問に応えれる」というのがある。
この営業の場合、“商品知識”は強みであると同時に、顧客が商品に求める機能を理解したうえで、“その知識を増やすために努力していること”が強みになる。
さらには、その知識の豊富さに満足をおぼえる顧客の反応に、おそらく“顧客が喜ぶことにもっと応えれるようになりたい”と思うことが、“信頼の元”になるのだろう。

 
そこから考えると、初対面の場合でも相手にその気になってもらうとか、感動してもらうために、何を言えば良いか、どのように美辞麗句を述べればいいかを考えるのではないことがわかる。
 
軸足をしっかりと定め、そこからは絶対にずれない。そうした上で、“自分が相手に伝えたいこと”を自然に伝えるのが信頼を持ち始めてもらう方法ではないだろうか。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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顧客を理解するということとは

「お客様を理解しよう」とか「顧客ニーズを理解しよう」ということは日常的に言われているけど、本当に出来ているのであれば企業業績はきっともっとマシになっているはずなんですね。
呪文のように「お客様を理解しよう~」と唱えたところで、もちろん理解できるわけはない。
そもそも「顧客を理解する」とはなんなんだろう。
よく営業の人たちが新規顧客を開拓するときに相手の会社案内を取り寄せたり、またネットで会社概要を調べたりするけど、それが「理解すること」なのかな?
あるいは、四季報で業績変化を調べたり、日経新聞に目を通して、既存顧客や潜在顧客についての記述を読むことが理解することなのか?

 
【解説】
 
「なにをするか?」で迷うときは、目的を考えてみると解りやすくなる。
 
顧客を理解することの目的はきっと「お客様をどのようにすれば喜ばせることが出来るかを知り、相手の期待に応えた対応をして、その結果購買活動につなげてもらって、自分の会社の売上をあげる」ということにあるはず。
 
とすると、まさに、「どのようにすればお客様が喜ぶのか」を知ることが「顧客を理解すること」の意味であり、企業の概略や業績変化を知っていることは、相手の喜びとはまったく関係がなく、知っていて当たり前の世界であり、知らないことは論外ということになる。

顧客が喜ぶのはどういう時なのか?
良い顧客が喜ぶのは、「自分が期待していることにスピーディに応えてくれること」であり、結果的に「自分の会社の業績があがる」ことにつきる。
 
とすると、理解することとは、顧客の購買担当者が自分の仕事のレベルを上げるために最も必要とされていることはなにで(例示:品質、納期、価格)、どれぐらいのレベルをいつまでに達成して欲しいのかを知ることであり、購買した製品を使うユーザーである他の部門担当者が求める製品要素がなにか(例示:生産性、施行性)、また顧客企業のエンドユーザーである顧客がどのような「満たされていないニーズ」を持っているのかを理解することになる。
 
これらは顧客と接触し、質問しない限り理解できないことであるため、購買部門だけでなくマーケティングや製品開発、生産部門への聞き取り、またエンドユーザーへのインタビューが必要になる所以なのだ。

 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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顧客の利益第一主義

顧客の利益第一主義(斎藤顕一)

【解説】

「顧客の利益第一主義」の正しい意味を理解してもらうため、
僕がよく話す例をご紹介します。

ある会社の社長に「顧客の利益と自社の利益とどちらが大事だと思いますか?」

という問いかけをしたときに、その人は

「当然、自社の利益が第一でしょう。
お客さんの利益を優先したら我々は儲からなくなるじゃないですか。
社員がお客さんを喜ばせるためには、値引きをしたり、販促などのコストをかけるだろうから、
そうすると結局自社の利益率が減少することになるのでダメなんです」

と言われたのです。

僕は自社の利益をまず確保したうえで、
その枠組みの中で顧客の利益を考えるということは、
自社の利益中心であって、顧客中心主義とまったく違うと言っています。

もちろん“顧客の利益第一主義”とは、顧客の我がままに応えることでもないし、
顧客の利己主義を満たすことではないのです。

大事なことは、商品やサービスを手段として、
利他主義に徹する気持ちがあるかどうかということなのです。

その精神に顧客が感激すれば、
その商品やサービスは購入してくれることになり、
その結果、売上につながりそれが利益につながると伝えました。

実は、

「自社の利益をまず優先して、そのあと余裕があれば顧客を大事にする」

という考えは、この社長だけではなく多くの経営者が考えていることなのです。

ましてや、従業員も当然そう考えるはずなのです。

頭で考えると「顧客を喜ばせること」は重要であり、
なんとしでも実践したいことなのですけど、
ビジネスにおける行動から考えると
「自社の数値目標を絶対に達成する」という考えがより重要であり、
恐らくこれらの人にとっては次元の違う考えなのです。

同じレベルで捉えて、どちらを優先して考えるのか、
という問いかけすら、不思議に思うのでしょう。

まさに、建前と本音の世界のいい例示だと思います。

では、どうやって「顧客の利益第一主義」を実践するかと言うと
、要はお客さんを「家族であるかのごとくに大切にしよう、とまず考える」ことなのです。

相手を大切にしようとすると、実際に顧客がなにを求めているか、

期待値がどこにあるのか、
そしてそれは自社の価値観に合っているのかどうかを考える必要が出てくるのです。

顧客が本当に望んでいることを見分けるには、
「法人顧客の場合は、その会社の業績向上をどのようにすれば、
自社の商品やサービスでお手伝い出来るのかを考え、
消費者が顧客の場合は、その人の喜ぶ顔を見るためにはどうすればいいのか」を、
いつも自分の軸足としておく必要があるのです。

そして、顧客を感覚ではなく、しっかり事実ベースで分析し、
大切にすべき優先顧客を明確にして、
優先度の高い顧客を徹底的に大事にすることが求められるのです。

全ての人を顧客にはできないし、すべての顧客に満足を与えることはできないからなのです。

文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。