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第4回:質問力を身につける


  
  
今回は情報収集の中でも特に重要な質問力についてお話しします。
  
  

問題に直面したら対応策を考える前に、まずは事実を理解するために人の話を聞いてみる

先日、人材派遣会社の社長さんと話をしているときに、その人は次のようなことを言ったのです。「今回の新型コロナで登録している派遣社員の人が不安を抱えているようで、そのために何ができるか考えているんです。給与補填や万が一解雇になった場合の保障など何をすればいいのか、競合会社の取り組みなども見ているのですが、仕事が大幅に減ったこともありなかなか悩みます・・・。」

それを聞いた僕は、「対応策を考えるのは大事だとは思うけど、まずは、派遣社員の人たちがどんなことを不安に思っているのか、どのようなことを会社に期待しているのかを聞いてみたらどうだろう?」とお話ししました。「確かにそうですね、まずは話を聞いてみます」ということで、その場は終えました。

その後、どうなったのかを聞いてみると、「相手にいろいろ質問し、自分が考えている保障や雇用の方針を直接話す機会が出来たことで信頼関係が構築され、良い口コミが広がり、仕事を止める人がいなかったのです。いや~良かったです」とのこと。
  
  

自分の頭だけで解決策を出し、完結すると、結果的に対処療法や実現性に欠けた取り組みになりがち

これは実は、多くの“優秀”な人でも陥る落とし穴で、自分の頭の中だけで解決策を出して完結してしまうのです。ある経営者は、自分の強い想いで“特定製品市場を狙う”という突然の新事業参入を通達しました。十分な市場調査や潜在顧客へのインタビューも行われず、事業展開を強引に進めた結果、新市場開拓は失敗に終わりました。自分の頭の中や一部の人だけの話を聞くだけで導き出した解決策は、対処療法だったり、実現性に欠けていたり、良い施策を導き出せません。まずは、成長機会とその機会獲得に必要な取組方を見つけるために、インタビューする(質問する)ことが重要だったというわけです。
  
  

自分の考え方の悪い癖を客観的に理解していないから良い質問が難しい

では企業の問題解決における必要な質問力について触れていきましょう。

質問といっても、自分が知らないことを聞く、理解できなことの説明を求める、などは自分なりに工夫ができます。ただ、相手の課題を聞き出し、解決の方法を一緒に考えたり新しいアイデアをお互いの対話から発見するための質問ということになると“新しい学び”が必要になります。なぜ、そのようなことが重要かというと、お客様企業の業績を高めることで、信頼を獲得することができて、その結果、自社の売上が増えるからなのです。

質問の難しさはいろいろあります。自分が聞きたいことをそのままぶつけてしまう、質問が具体的で細かすぎる、相手の応えに対して更に質問ができない、相手の質問に応えることができないなどです。なぜ、そんなことが起こるかというと、商談は”自分の利益“だけを考えて行うし、ロジック(秩序正しく考える方法)も学んだことがないし、自分の話し方、つまりは考え方の悪い癖を客観的に理解したことがないからなのです。
  
  

問題解決における“質問”は、“分からないことをただ聞く”のではなく、お互いの価値を引き出したり、新たな価値創造の取り組みといえる

では、質問する上で大事なのは何でしょうか?まずは、問題解決における“質問”は、“分からないことをただ聞く”のではなく、お互いの価値を引き出すための取り組みと認識する必要があります。そのうえで、それを実現するための質問力の基本的なことをまずしっかりと理解して実践する必要があるのです。基本的なこととは次のようなことです。

1.まずは、質問するときの目的を明確にすることです。商談も質問から始まるとは思うのですが、自分の製品・サービスを売ることではありません。相手企業が業績を上げることができない根本原因を聞きだすことで、その解決提案をすることです。相手のことを考えないで、自分の売上獲得だけの商談は、相手から嫌がられるのでNGなのです。

2.次に、相手の関心がどこにあるのかを理解します。そのためには、最初は大きな質問から始めます。例えば、どんなことにお困りなんですか?というのが大きな質問になります。相手からは、売上があがらない、利益が出ない、人がいない、などの応えが得られるでしょう。大きな質問をした場合の最初の答えが、最も大きな関心になるのです。

3.普通はそこで、大変ですね~で終わってしまう(笑)。大きな関心事が判ったのですから、なぜそれが一番大きな問題なのでしょう?と、相手の言ったことの意味を、具体的に理解する必要があるのです。そのためには、自分が納得できるまで、深堀して質問し続けることが重要になるのです。売上が大きな問題だとした場合、その原因は3通りあります。相手企業の営業活動の問題、販売商品の問題、その先のお客様の問題ですが、それだけでは解らないので、更に中身について質問をし続けるのです。

4.相手企業の問題がいろいろ解ったところで、それらが意味するところ(問題の本質)を理解するために要約が必要になります。この要約には論理的思考が必要になり、それも新たに学ぶ必要があるのです。
  
  

文責:齋藤顕一

本メッセージの著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーおよび齋藤顕一にあります。
無断転載はご遠慮下さい。

第3回:情報収集とは?


  
  

情報収集のアプローチ次第で、目的達成が出来るかが決まる。もっとも重要な能力の一つ

情報収集は“どこのスーパーの大根が安いか?”、から“受験にはどの塾が良いのか?”などの身近なことから “売上が伸びない原因を知るために必要なデータはなにか?”などビジネスまでもカバーする、すご~く重要な活動ですよね。

最近の傾向としては、“ビックデータ”、“データサイエンス”が日常の言葉として目につくようになり、企業業績を高めるためにも必要だし、日常生活を豊かにするためにも理解することが大事と、データや情報が、ますます重視されるようになってきています。

でも、どのような情報を、どのように情報を集めると、本当の目的を満たせることができるかを、知っている人は極めて少ないのです。良い信頼できるデータは高く売れるということも、よく知らないのです。

正しい結論を導きだすには、正しい情報がないと無理なのです。今回新型コロナの影響でもメディアの出す情報の信憑性などについて書かせてもらったのやけど、情報は取り扱いに注意が必要やね。
最近では、UNDPがコロナ情報4割しか信頼できないと警鐘を鳴らしたりもしています。
  

国連開発計画(UNDP)は10日、SNS上に投稿された新型コロナウイルスに関連する約1億1200万件の投稿のうち、約4割が「信頼できない情報源からの発信」という調査機関の分析結果を発表した。
2020年6月10日 “SNSのコロナ情報、4割が信頼できず UNDPが警鐘”

  
  

解決されていない企業の情報収集の問題は多すぎる

さて、企業の業績に大きな影響を与えるデータや情報の収集に関してですけど、ひと昔の前と同じように、企業の問題は解決されておらず、いまだに多く存在しています。

①重要性への意識の低さ
② 正しい情報収集法を知らない
③ 専門性の担当者の不在

これらの問題が、情報量の肥大化と偏りによる混乱を引き起こしているのですけど、それに気が付いていないのです。情報は簡単にネットなどで手に入れることが出来るために、知る必要のない情報を取りすぎることや、自分の部門や自分にとって都合のよい情報だけに焦点をあてるため、情報量は増える物の、企業の業績が上がらない原因を知るためにデータや情報がわからないため、なんら成果につながっていないのです。
  
  

基本に忠実になれば、問題解決における情報収集はそれほど難しいものではない

では、問題解決における情報取集については、どのようにすればいいのでしょうか。まずは、やはり、必要な情報の目的を明確にし、フレームワークで必要情報を明確にして収集するという基本を忠実に実行することです。

情報収集をするにあたって(なんでもそうですけど)、最初に目的をしっかり決めるとその後のアプローチが非常にスムーズになります。

企業において改革プロジェクトを実施する場合は、「企業の業績向上施策を考えるのに必要な、売上・収益性・生産性・シェアに関するデータ、とそれらの数字の原因となる情報やデータ」と、考えるのです。

次に具体的に、どんな情報を集めるかですが、3C(市場・競合・自社)のフレームワークでとらえるというのも一つの手です。
  
  

市場の情報収集は、“大きな市場から小さな市場”、“長期の時系列”、“自分たちの強みから考える”から始める

今回は市場についての情報を集めるときに重要な考え方を説明します。

①最初から細分化した製品情報ではなく、大きい視点でまずは、自社の参入市場全体を見ます。“大きなところから小さな市場”をみていくのです。代替品市場があるならそれも見ておきましょう。最近は市場の情報がないというよりも“ありすぎる”ので、いくつか官公庁や業界団体の統計書を比較して選ぶことは基本になります。

②次に、市場を“長期の時系列の推移”を見ます。時系列で市場の動向を追うと自社が参入しているのは成長市場か、それとも衰退市場かがわかります。そして、自分たちの戦う市場をさらにミクロでみてみる。衰退市場だからといってミクロで見た場合チャンスがないわけではなく、たいていの場合チャンスが残っている市場も存在しています。

③対象にしている市場をさらに、製品市場別に分解して規模や成長度合いを理解していきます。その際に、“自分たちの強みの活かせる市場で確固たる地位を築くことを意識”してみてください。これは統計書の分析なので、スキルのある会社は誰でもできるのです。

例えば、規模と成長度合いを分類し、製品市場別に分解して規模や成長度合いを理解していく。自分たちにとって、どの市場が重要なのか、が可視化できるということなのです。
  

  

顧客の情報取集を正しくできると誰も気づいていない成長機会獲得につながる

市場の中に、もちろん顧客も含まれています。市場の数字は顧客の購買行動の結果なので、顧客の分析が正しくできると誰も気が付いていない市場セグメントを発見することが出来て、成長機会の獲得が可能になります。

①新たな成長を達成したいと考えるときは、とにかく、顧客の満たされていないニーズや期待を十分に理解することが不可欠。つまり、自分たちの製品やサービスを売るのではなく、顧客が求めているものを理解し、どのように提供するかを考えることが重要となります。

②顧客とは、普段取引をしている会社だけではなく、その先の最終消費者も含みます。その人たちのニーズを現場で聞いたり、観察を繰り返し、顧客を理解する方法が身についてくると、単なる年齢・性別の属性分類ではなく、よく似たニーズを持つ顧客のグループの存在に気が付く、それが俗にいう戦略的顧客のセグメンテーションになります。

③ 顧客から学ぶというのは、自社商品を売るヒントを得るためではなく、顧客に提供できる価値を創出するためです。新しい商品コンセプトやサービスコンセプトを開発することや、価格以外で提供できる価値を新たに作り出すことが重要になるということです。
  
  

今日のtips

市場の成長率と市場規模で分類して、自社の対象市場の評価をしてみると新たな攻略法についての発見があります。同じ考え方で顧客の評価もできます。自社にとって最重要顧客、重要、維持、低優先など、色付けすることで、対応の仕方を変えて効果と効率を高めるのです。
  
  

文責:齋藤顕一

本メッセージの著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーおよび齋藤顕一にあります。
無断転載はご遠慮下さい。

コロナの中でどのように考えるべきなのか

新型コロナは経済に大きな影響を与えているけど、それ以上に、自分の心のコントロールが出来なくなってきていることが気になる。先が見えないことからくる将来への不安、現状の限られた生活スペースで行動することの閉塞感、区切りのない時間を過ごすことによる生活リズムの喪失、など、気持ちのゆとりに悪影響を与える。さらに、人と会うことで感情的触れ合いが起こり安心感が増すはずだし、対話することで知的な交わりが起こり成長を実感することが出来るはずなのに、その機会がなくなってしまった。確かに、“幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンというペプチドホルモンは、大事な人との触れ合いから産まれるようだし、人とのリアルな接触機会を増やすことは必要になりそう。
  
確かに自粛は大事であるものの“会うか?会わないか?”ではなく、コロナ感染リスクを最小化しながら、どのように誰と会うのかを考えることが大事になるということや。もちろん、それだけでは不安の解消にはならない。自粛による経済の縮小に対して、ただ単に経済の回復を待って企業活動を再開するのではなく、ポストコロナにおける新しい企業活動はどうあるべきなのかを考えることが大事になるのです。
  
つまり、お客様を喜ばせ、従業員を喜ばせるためにはどのような活動を行わなければならないのかを考える必要あるということなのです。これはまさに「問題解決の考え方」の理解であり、実践することだと思うのです。
  
たまたま、2006年の拙著「問題解決の実学」の「おわりに」に書いた文章を読み直す機会があり、その時の気持ちや考え方は、今も有効であるので、皆さんにも読んでいただきたく以下に記します。
  
注:2012年に「新版問題解決の実学」を出版したため2006年出版の「問題解決の実学」は絶版になりました。
  

少々景気がよくなってきたといっても、全体的にはまだまだです。そんな中、「とにかくがんばるだけ、がんばる!」という気合だけでは成功しにくくなっているせいか、ロジックや考え方についての本が巷にあふれ、「より客観的に、より分析的にとらえましょう」という世の中になってきました。
  
問題解決に関する本を書店で立ち読みしてみると、訓練を受けた人間にしか理解できない分析法や考え方が書かれていて、「いったいどんなやっちゃ、こんな難しい本を読むのは?」といつも不思議に思う。そういう本が平積みされているところを見ると、「本を読めば世の中の流れについていける、自分も賢くなる、カッコいいコンサルタントのようになれる、と思って読んでいる人がいっぱいいるんやろうなあ」と妙に感心しています。
  
そもそも、私は、論理性とはまったくほど遠い人間でした。それがいつの間にか、「ロジックで言うとこうなるんですよね~」などと偉そうに、企業で選抜された人に研修を行っているのですから不思議です。
  
私の“思い込み”かもしれませんが、どうも日本には、論理性よりも感覚・感性が大好きな人が多く、分析を行ってどの顧客をどのように攻めるかを決めるというより、太鼓を叩いて「今日もがんばるぞ~」と唱える精神論のほうが受け入れられやすいという風土がある。そのため、難しそうなことをごちゃごちゃ言う人や、論理的な話が好きな人は、どちらかと言うと人気がなく、おもしろみのない人間ととらえられてしまうようです。
  
私の出身地の大阪近辺では、論理的に聞こえるような話でもしようものなら、「コラ、何を難しいことをごちゃごちゃ言うてんねん。そんなんどうでもええがな~。はよ、動かんかい」と言われるのがオチでした。
  
たしかに、つくれば売れる時代には、がむしゃらに行動することが大事だと思われていたし、実際に成果があがりました。その時代を過ごしてきた人は、相変わらず「がんばる」ことを行って、エネルギーをいっぱい使い果たして、でも成果を出していない(悲しい!)。それなのに、さらにがんばるゲームを社内で強要して、がんばらされた社員はみな疲弊するという、マイナスのサイクルに突入してしまう。
  
その一方で、バブル崩壊後は規制緩和が徐々に進んで新しい競争が起こったり、顧客の好みが多様化したり、時代は大きく変化している。1990年を境に、これまでとはまったく異なる時代、つまり、どんな戦い方をすればいいかが見えない時代に突入しました。
  
いまや「基本戦略がない」と言われれば、「そうそう、基本戦略を考えなければ」とオウムのように唱える人がたくさんいます。その場合、戦略とは何かを考えたこともない人が、事業部別あるいは製品群別の目標値だけを決めて、後は「この数値を達成するために、みんながんばれよ~」と押しつけるだけ。結局、同じことの繰り返しです。
  
それで、成果は出たのかといえば、もちろん、出たためしはない。そこで、ちょっとはノウハウ本を勉強でもして、戦略らしきものを考えようということになって、「戦略立案ノウハウ集」がもてはやされているのでしょう。
  
この本の狙いは、特定の分析手法を理解してもらうことではありません。企業業績を高めるために不可欠な「問題解決法を実践する」時の考え方やアプローチを伝え、理解してもらい、それを使ってもらうことです。
  
具体的な分析事例を学んでも、その分析法が使える場面でなければ無用の長物。でも、考え方を学べば、それはどんな場面でも使えます。主観的ではなく、より客観的に考えられるようになって、世界がハッキリと見えてくる。問題解決法はマジックではないし、エリートだけの特殊な技でもない。基本的なことを理解して使いこなせば必ず身につくものなのです(これホンマ)。
  
もう1つ大事なのは、問題解決法はもはや業績向上のための施策を考え出せば済む話ではなく、その施策をどのようにして実現させるというところまで踏み込まない限り、具体的な成果には結びつきにくくなったということです。業績向上の施策は問題解決アプローチによって導き出すことはできますが、実現するには「社内に変革推進の仲間」をつくり、その人たちを核に成果につなげていかないと、結局、「いい報告書を作成してもらった。いや~ええ勉強をさせてもらいました~」で終わってしまいます。
  
「人の心に触れることが重要であり、問題解決はまさにハードな分析とソフトな心」がなければ、成しえなくなっているのです。問題解決者には、まさに正しい考え方と、人を巻き込み、同じ目標に向かって邁進させることができる意志が不可欠になる。企業業績が悪いことを嘆いたり、景気のせいにしたり、経営者層や他人のせいにするのではなく、自分たちの取組みによって、まずは業績向上の企業体質をつくる。そうすれば、業績向上策を考え、問題解決の方法を理解し、後は実行あるのみです。
  
最後に、私がこの本に書いたことを象徴する例を紹介します。
  
ある会社で8年間赤字続きだった事業部の話です。その事業部は、プロジェクトを4月に開始して、まさに死に物狂いの取組みを行いました。そしてスタートから1年弱、なんと翌年3月の決算で黒字転換を成し遂げたのです。マイナス成長の売上をプラスに変え、低下していた粗利率を向上させ、無駄なコストを削減したという、理想的なV字回復でした。
  
私は、お祝い会で発表したプレゼンテーション資料の最後に、次のような文章を入れました。大変だったけれどもプロジェクトをやってよかったと思ったこと。それから、次への取組みへの励まし(自分を含めて)を込めたメッセージです。
   
  
 人はだれしも、できればしんどいことをしたくないと思う。
 できればラクして、楽しく過ごしたいと思う。
 でもそれを求めたら、人はダメになると思う。
  
 お客様のことをいつも考え、お客様に喜んでもらえる。
 商品とサービスを提供したら、お客様はみなさんの会社を
 自分たちの良きパートナーと考える。
 そうしたら、結果として、みなさんの会社の売上は増大し
 利益も増える。そして、役員も従業員もみんな満ち足りた
 気持ちになる。生きてて良かったと思う。
  
 数値だけを追い求めたら、お客様はみなさんの会社を
 普通の会社だと思う。そうしたら、会社の将来は、
 きっとつまらないものとなる。
  
 人は、楽をしたい気持ちと、怠け心とマンネリ化と
 戦い続けることが求められる。
 結局、それは「人間の業」との戦いである。そして、
 その戦いが、人生でもっとも厳しい戦いとなる。
  
 その厳しい戦いである「人間の業」との戦いに勝利したものが、
 生を与えられ試練を受けた者として、初めて、みんなから尊敬
 され、「そのような生き方をしてみたい」と慕われる。
 戦いは始まったばかりである。われわれはお客様のために、
 自分たちの仲間のために、そして社会のために、戦い続ける。
 それが、この世に生を与えられた人間の宿命であり、
 みなさんの会社に生きる道を選んだものの責任であり
 義務であると思う。
    
  
  
2006年8月吉日
齋藤顕一 

  

文責:齋藤顕一

本メッセージの著作権は齋藤顕一にあります。
無断転載はご遠慮下さい。

受験の成功確率も高める“問題解決の考え方”

問題解決 中学受験 日常に活かす   

問題解決の考え方はビジネスの世界だけに通用すると思っている人が多いのですが、講義を受けた受講生から「ビジネス以外でもこんなことに役立ちました」とよく言われます。 “「ママ、最近怒らなくなったね」、と子供から言われました“、”夫婦喧嘩が少なくなりました”、“子供との言い争いが少なくなりました”など、日常生活の様々な場面で、問題解決の考え方の効果を感じているようです。
  
  
これは、問題解決の考え方を学んだ人が、直面した問題についてすぐ解決するのではなく、この問題が起こる原因は何か、なぜこのような行動をしたのか、と深く考える癖がつき、自然と問題解決ができている表れだと思います。
  
  
このように、子供、夫婦、親との間で何か問題が発生したとき、受験、就職、結婚、子育て、介護など様々な場面において問題解決の考え方は有効で、“考え方を変えると世界が広がる”ことによって、今までとは違った、新しくより効果的な解決策を導き出すことができるようになるのです。
  
  

  
  
以前からやりたかった「ビジネス以外における問題解決」についての情報発信の一つとして、今回受験についてダイヤモンド社の方からご提案いただき、”通うべき塾を正しく決め、成功確率を高める“という内容で寄稿させてもらいました。
  
  
ビジネスにおいて取組むことの多い“問題解決のアプローチ”ですが、”受験合格”を”ビジネスにおける成果”に置き換えれば、実は受験生を抱える親御さんにとっても非常に有効な考え方となります。
  

  1. 目的を決める
    (家族で方向性をそろえる・将来のどうなって欲しいかなども念頭にいれる)
  2. 情報を収集する
    (受験校や塾の情報をできる限り多く集める、口コミだけではなく、実際に訪問し話を聞く)
  3. 分析をする
    (魅力ある受験校とそのメリットデメリット、子供の実力と期待できる成長性などを見極め、合格できる可能性の高い学校群を決定する)
  4. 行動計画を立てる
    (子供と話しながら具体的な行動プランを作成する)
  5. 進捗を管理する
    (成績だけではなく、子供の日常生活を観察し必要に応じて行動計画を修正する)

   
  

  
中学受験は、親子で行うプロジェクトであり、その成功確率は、親が達成すべき目的とやるべきことをマネージメントすることに左右されます。問題かなと感じたら、目的に戻り、子供と話し合い、原因を書き出して、大きな問題に焦点を当てて、解決をしていきます。
    
  
“通うべき塾を正しく決め、成功確率を高める“が掲載された雑誌“ダイヤモンド・セレクト 2020年 8月号 (中高一貫校・高校ランキング2021年入試版)”は2020年7月14日発売です。ご興味ある方は、ぜひご覧になってください。
  
  

 

  

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第2回:リーダシップとは?


  
  
  
多くの企業は、市場の成長性とは関係なく、収益性さえ伸びていればリーダーの取り組みを高く評価し、メディアもその企業の取り組みを成功事例としてとりあげます。しかしながら、一旦収益性が低下し、業績が悪くなれば、社員だけではなく株主をはじめメディアもリーダーをたたき始め批判家になることがあります。 
  
これは、新型コロナの影響下の今、新型コロナ対策がうまくいかない国でも同じことが起こっています。国が経済的に恵まれていて、自分に影響がないときにはリーダーを評価し(あるいは無視―笑)、一旦自分たちに害が及ぶと、国のリーダー、自治体のリーダー、組織のリーダー、あげくのはてには配偶者をも批判をし始めます。
  
そんなとき、問題解決者(問題解決の考え方を学ぶひとたち)はどのように行動すべきか。やはり、批判家ではなく、変革者、つまり、どんな時代であれ、より良い状況を目指して考え、行動するリーダーになってほしいのです。批判ではなく、状況を良くするために、うまく行かないことの根本原因を見極め行動する、それこそが本当の問題解決者であり、行動するリーダーであると思います。
  
では、今、企業で求められる“本当のリーダー”はどのような人なのでしょうか? 役員の人でしょうか?声の大きい人でしょうか。部下にもっと頑張れと、尻をたたいて指示してきた人でしょうか。あるいは高学歴の人で経験のある人なのでしょうか。きっとそのような切り口ではないと思います。
  
経験則が使えない今の時代は、自らの頭を使って企業が業績を上げることができない“根本原因(重要課題)”を発見することが出来る人なのです。そして、重要課題を発見することが出来るので、具体的解決提案を行い、多くの人たちを巻込んで、成果実現に向けて邁進できる人財でしかないのです。この人たちは、経験とは関係のない若い人たちかもしれないし、女性であるかもしれないのです。実際に私の知る多くの企業でそのような人たちが成果をあげているのです。
  
  
企業に必要なリーダーとは、
① 新たな成長を達成するための施策(戦略)を考え出す
② 戦略を実行するために、人を巻き込む
③ 挑戦意欲をもって仲間と一緒に取り組み続ける
ことが出来るのが、真のリーダーだと思います。 
  
  
企業が成長するためには、対象とする顧客市場を決定したうえで、その顧客獲得のためにバリューチェーン*(競争力の源泉)を強化することが不可欠。もちろん対象とする顧客市場は規模があることと成長していることが条件になります。いくら自社の競争力を強化してシェアを伸ばしたとしても対象とする市場が成長していないと、売上は伸びないからです。
  
だからどの市場セグメントで戦うのかを決めることは大事なのです。成長を達成するためには、海外を含め戦うべき市場セグメントを見極めることや、その市場の顧客を徹底的に理解すること、そして自社がそれらの顧客を獲得するための方法を考え出し、全社員が一丸となって取り組むことが必要になります。
  
管理職は会社が選びます。真のリーダーは、会社が選ぶのでしょうか?違うのです。真のリーダーは周りにいる人たちが選ぶのです。
  
つまり肩書と部下の関係ではなく、真のリーダーには“一緒についていきたい”と考えるフォロワーが沢山いることになるのです。そのリーダーと捉えられている人たちには人間力があると同時に問題解決のアプローチを十分に理解し、実行力があり、困難にもめげないで成果を実現する人たちなのです。
  
そのような素養を持った人たちは沢山いるのですが、自分にそのような潜在的な能力があることに気が付かないし、ましてどのようにすればそんな人に成れるのかもわからないのです。真のリーダーとは天賦の才能ではなく、磨き方を学び実行することで得られるものであるところも面白いと思います
  
  
  

今日のTips

リーダーシップに必要なこと
① 新たな成長を達成するための施策(戦略)を考え出す
② 戦略を実行するために、人を巻き込む
③ 挑戦意欲をもって仲間と一緒に取り組み続ける

バリューチェーンの分析
会社によって若干項目が変わりますが、ビジネスの流れ(バリューチェーン)を書いて、現状と問題とその理由を書き出してみてください。
戦略的な問題が浮き彫りになります。 具体的には、また別の機会に詳しくお話ししますね。

第1回:本質的な問題とは何か?


  
  

~多くの人が誤解している“売上が上がらない”のは問題ではなく現象~

世の中の人の多くが“答え”をすぐに求めたがる。どうしたら営業成績1位になれるのか、どうしたら事業に成功するかなど、昨今は、答えだけ教えてください、という風潮があるような気がしてなりません。でも実は、その答え=解決策を立案するよりも、正しく問題を理解するということが難しく価値があります。
  
では、問題とは何でしょう。多くの経営者を含むビジネスマンがとらえている問題は、“問題”ではなく“現象”をとらえていることがあります。“御社の問題は何ですか?”と聞くと、“売上が上がらない”、“利益がでない”、 “新商品開発ができない”、“新規顧客開拓ができない”などという答えが返ってきて、「現象」の羅列は際限なくできますが、それらは、本質的問題とはいえません。
  
そして、多くの場合、それらを間違えて問題と捉えて、対処療法をとる。
“売上が上がらない”では、“広告費を増やそう” とか “利益がでない” では、“原材料費を安いものに替えよう”。などなど誤った取り組みをしている会社は数えきれないほどあります。実は、これらの解決法は、実は過去の経験則から来ていることが多いのです。
  
表面上の“現象”ではなく、 “そもそも何が問題なのか”を考えることを本質的問題の発見といいます。氷山の一角に例えると、現象は上の目にみえる部分、本質的問題はその下の見えない部分と考えてください。そして、自分たちの問題は大したことないと表面上思っていても、実は、大きな問題が表面下に隠れている企業が実は多くあります。
  

  
では、どうやって、本質的問題を発見するかなんですが、具体的には、5つのフェーズに分けて根本原因を理解し解決法を導き出すことができます。
  
  
まずは、
重要課題発見プロセス
① 問題の深刻度を理解するため、会社の業績を数値でおさえる  
② 対象となる市場の成長機会を理解する(市場と顧客)
③ 事業活動(VC)を流れで整理し、うまくいかない原因を理解する
④ 事業の運営体制や人の巻き込みにおける課題を理解する
解決策の立案
⑤ 疎外要因を①‐④で理解し、その裏返しの解決法を実践する 


  
  
問題解決の5つのフェーズ
  
どうでしょう、問題解決とは何か、イメージがわいてきましたか?
では、もう少し問題解決において、大事な考え方があるので、触れさせてもらいます。
  
1.問題解決とはまず重要課題を発見すること。
重要なことは最初から解決法を考えるのではなく、業績があがらない根本原因を徹底的に見極めることやね
  
2.問題解決は学問ではなく実学である。
学校では学べない新しい考え方であるため、問題解決のできる人財は年齢、経験、学歴とも関係ない
  
3.問題解決とは脳力の使い方を学ぶこと。
知識や成功体験で解決法を考えるのではなく、知る必要のある事実データの収集と分析と対象となるお客さまや現場の人へのインタビューによって得られた情報から、論理的に考えることが重要
  
4.問題解決を学ぶ問題解決者(Problem Solver)が目指すことは“能書きを言うこと”ではなく成果を実現すること。
問題解決のアプローチを理解し試行錯誤して身につける努力をするだけではなく、人を巻き込むための人間力が不可欠で信頼されるための自己鍛錬が大事
  
  
しっかり学び、身につけることが出来ると、それは圧倒的な差別化できる能力であり、今の企業や組織で求められている能力であるため、皆さんにしっかりと学んでほしいと思います。
  
そうそう、説明が遅れましたが、これはシリーズ化していこうかなと思っています、それでは、また。次回。
  
  

Tips ~やってみよう!考え方のヒント~

実際にやってみてください。まずは、頭を使うことからスタート!

1.問題と現象の違いを理解する
普段から、自分の会社や部門の直面している現象や問題について考えてみてください。

2.問題解決のフローを意識する
実際に、フローの流れ通り考えてみてみると今まで気が付かなかった問題に気づくことができます。それぞれのフェーズについてはまた別途とお話しします。

文責:齋藤顕一

本メッセージの著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーおよび齋藤顕一にあります。
無断転載はご遠慮下さい。

どうやって企業の業績を上げるのか?

バブル崩壊によって失った資産は1300兆円を超えるともいわれるほど日本の産業界に与えた影響は大きく、その結果日本は成長することが出来なくなってしまった。国際競争力も低下し、GDP規模も中国の後塵を拝し、企業の年間成長率も大幅に低下した。労働生産性は主要7か国の中でも最下位で、営業の生産性は営業職の人数が減っているにも関わらずほとんど20年前を超えることができていない。アベノミクスのプラスの影響があったものの、成長できない企業、成長できない日本になってしまった。
 
 
にもかかわらず経営コンサルティング会社は成長しているようだ。日本企業は成長しないのに、なぜコンサルティング会社は成長しているのでしょうか?それは成長できないクライアント企業の業務改善やオペレーションの見直しを行うことで、収益性の改善を行っているからなのです。企業は成長しないと収益性が悪化するので、ともかく収益性をあげることが重要な取組になるのでしょう。
 
 
健全な企業は、売上を増大させることで収益性を向上させるのですが、どのように売上を伸ばせばいいのでしょう。おそらく、多くの企業は売上を伸ばすための具体的な方法を何通りも考え、その施策の中で最も効果的な方法を実践されるのだと思います。しかし、なかなか思ったような成果を実現させることが出来ないのだと思います。なぜか?その時に考え出された数々の施策は、過去の成功体験や他の企業の成功事例から導き出されたものだからなのです。世の中が大きく変化しているのですから、過去の成功事例はほとんど役に立たないでしょうし、他企業の成功事例は他企業だから成功したのであって、全く異なった経営を行っている企業には役に立たないのです。
 
 
それではどうすれば良いのでしょう。フォアサイトは企業が売上を伸ばすことが出来ない根本原因に着目することから始めます。最も重要なのは、競争力の源泉ともいわれる”バリューチェーン”を見直し、どの要素が弱体化しているのかを見極めるのです。そして、売上を上げる施策が成果を実現するために必要なインフラや人の問題にも踏み込んで考えるのです。
 
 

文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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Distinguished Alumni of the Year賞 受賞メッセージ

Distinguished Alumni of the Year(DAY)賞は、国際基督教大学(ICU)に在籍したことのある卒業生・留学生・教職員の中から、大学および同窓会の知名度・魅力度を高めることに貢献した方に対し、その功績を称えるために贈呈される。齋藤は2002年から2006年までICU同窓会第15代同窓会長として同窓会を率い、斬新なアイデアと若手現役世代や在校生を巻き込む求心力で、現在の「働く同窓会」の礎を作ったことを評され、2020年にDAY賞を受賞した。以下受賞メッセージは、ICU同窓会HPおよびAlumni News(Vol.133, 2020年9月発行)に掲載されたものである。
  
DAY賞について
  

  
  
齋藤 顯一 74 年語学科卒 (17期)
  
この度は DAY 賞にお選びいただき、誠にありがとうございます。まさか、自分が同窓会長の時に設立した賞に選ばれるとは思わず、”自作自演”になってしまうのではないかと受賞をためらったのが本音なのですが、2006 年から現在まで 15 年間もこの活動を続けてきてくださった同窓生や事務局の皆様に感謝申し上げるとともに、ICU の知名度・魅力度を高めることに貢献なさった皆様に肩を並べることができたことをとても光栄に思います。
  
  
私は現在、問題解決者の育成を通じて企業の業績を高めることに取り組んでいます。問題解決とは学問ではなく、記憶した知識で与えられた問題を解くわけでもありません。本当の問題解決とは、考え方であり、頭の使い方であると私は思います。事実データを集めて分析し、本質的な問題を発見し、その意味合いを正しく論理的に理解する。そして成果を実現させるために、人を巻き込みながら行動に移す。問題解決は、組織、団体、企業、ひいては社会をより良くするための考え方です。大きな問題だけでなく、常日頃からこの問題解決的な思考で生活することで、より良い人生が送れる、すなわち問題解決を学ぶということは、生き方を学ぶということでもあります。
  
  
私が 2002 年に同窓会長を引き受けたときも、同窓会を「同窓生、在校生、大学にとって魅力的な集まりにしてみたい」という願いをもって、問題解決的な考え方をもとに様々な取り組みを考え、副会長をはじめとする理事・評議員の方々、そして事務局、同窓生、学生の皆様のご協力のもと、評議員や在校生を含めた部会活動の活発化、アラムナイニュースの刷新、学生評議員制度やドリームコンペティションの導入、募金パーティー、DAY などを実施しました。このような取り組みは、時代が変わるにつれ、そのとき必要とされている最適な形へと変化させていく必要があります。これからも、ICU 同窓会が ICU、そして同窓生のためになる活動を実現できる場であり続けることを心より願っております。
  
  
“問題解決”とは、言葉にすると簡単に聞こえますが、今の日本の状況をみると、問題解決的な思考で物ごとを考えられる人は非常に少ないと感じます。1990 年のバブルの崩壊は 1,300 兆円にも上る資産を失うことにつながり、日本の国際競争力は低下したまま回復できていないのが現状です。正しく考える力をもつ人材は、これから先どんどん必要になってきます。問題解決をできる人材が増えることで、より良い組織、より良い社会、そしてより良い日本ができると信じ、これからも問題解決者の育成に邁進していきたいと思います。
  
  
以下、英文受賞メッセージ(翻訳 ICU同窓会広報部 鈴木律)
I am truly thankful for being selected as one of the Distinguished Alumni of the Year. As the DAY was inaugurated when I served as Alumni Association president, I was hesitant at first about accepting this prize – would I not become a director-actor in a charade! But on second thoughts, it would be an honor to line up shoulder to shoulder with those who have raised ICU’s visibility and appeal, and to thank the alumni and secretariat that have continued these activities for the past 15 years since 2006.
  
Currently, I am educating and training problem solvers in order to improve corporate performance. Problem Solving is not an academic discipline, nor does it not rely on rote memory to solve issues. I believe that true problem-solving is a way of thinking and utilizing one’s mind. One has to gather the facts and data, uncover the essence, correctly and logically understand the meaning, get people involved, take action and obtain results. Problem-solving makes for better institutions, organizations, corporations and ultimately society. Not only major issues, but by tackling one’s daily chores with a problem-solving approach, life itself would be better. That is to say, learning about problem solving means learning to live.
  
On assuming the post of president, I utilized the problem solving thought process to create various programs to make the Alumni Association a more vibrant place to gather for the alumni, students and the university as a whole. With the help of the vice presidents, trustees, councillors, secretariat, alumni, students, the committee activities were livened up, the Alumni News renovated and redesigned, the student councillor scheme and Dream Competition introduced, fund-raising parties and the DAY prize organized. These programs should change optimally according to the times. It is my strong wish that the Alumni Association continue to be a venue where activities can be carried out for the benefit of ICU and alumni.
  
The term “problem solving” may sound easy enough, but if I look at the current situation in Japan, there is a dearth of people who can think through based on this problem solving approach. When Japan’s bubble burst back in 1990, 1300 trillion yen worth of assets went up in smoke and this country’s competitiveness has never recovered. The need for people who have the ability to think properly will become even greater. With more people endowed with problem solving skills, a better organization, a better society and a better country would be built. I will press forward in the education and training of problem solvers.
  
  

文責:齋藤顕一

本メッセージの著作権はICU同窓会および齋藤顕一にあります。
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人の繫がりがもたらすものとは?

さて、今回は、長年つきあいのある名古屋市立大学大学院教授河合先生の研究の一部を中部経済新聞が取り上げてくれたので、紹介したいと思います。 実は、名前は出ていないのですが、記事の冒頭にある「著名なコンサルタント」とはぼくのことです(大笑)。実際は無名のただのおじさんなんですけどね。

要は、人との繫がり(ネットワーク)の2つの側面が僕の駆動力が喚起しているとのこと。

2つの側面とは、次のことです。
1.人との出会いの機会を作ると人が「今まさにどんな問題にもがき苦しんでいるのか」を知ることが出来て新しい経営課題についての知識が得られる
2.悩みを持つ人を「なんとかしてあげたい」という気持ちに駆られる。社会的使命ともいうべき気持ちの高まりです。実際に教育を行い人々が成長したのを見ると自身も、一歩先に進む気持ちになる

論文も見せてもらったのですが、自分でも気が付かなったことを、いろいろ指摘してくれて新しい発見がいろいろありました。

「人の繫がりが“駆動力”を喚起する」
中部経済新聞 2020.5.25

記事の中でも触れられているように、今回新型コロナにおいて、我々は情報技術のおかげで、新しい手段でのつながりにより恩恵を受けているし、社会的エネルギーを高める必要があると強く思っています。

リモートワークは、インターネット上で仕事が完結する業界(EC、それに伴う広告、エンタメなど)や役割(そもそも、在宅で仕事をしていた人たち)を担っている人にとっては最適ですし、多くの人にとっては、通勤がないので、個人の作業は効率も良いなどメリットはあり、もっと活用すべきと思います。

ただ、リモートワークの課題もあるとは思うので工夫が必要になります。

‐新しい価値創造がしづらくなる。 人との対話を通して知恵を獲得できるし、新しいヒントももらえるが、どうしても考える世界が狭くなりすぎるため、創造活動は難しい
‐危機への感度が下がる。個人の関心事のみに注意を払うことが多くなるため、経営者視点や顧客視点で仕事をみることが疎かになり、会社や部門価値の低下に気が付かない。同僚のメンタル、体調面での変化にも気が付きにくい
‐育成が難しい。オンラインで本人のやる気と、質問する力が十分にあれば良いのですが、どうしても単に聴くという姿勢になるため、解らないところを放置したり、質問しづらいので、自分の“考え方”のどこに問題があるかを知ることは難しい。もちろん、オンラインで個人の集中力を維持するのはもっと難しい。

まさに、“人との繫がりが駆動力”という超濃厚接触人間としては(笑)、皆さんとまた会えることを楽しみにしています。それまでは、自粛や最大限の慎重さを持って活動しつつ、こまめにオンラインでの良いコミュニケーションのとり方を模索していきます。

それでは、また!今日も良い1日を!

文責:齋藤顕一

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2020/06/04 09:44 note掲載

リストラと従業員満足

新型コロナウイルスの影響で、アメリカの4月の失業率が戦後最悪のx14.7%を記録したというニュースがあったので、ぼくが重要だと思う“リストラ”と“従業員満足”について簡単に触れたいと思います。

まずリストラについてですが、

リストラの意味は“Re-structuring”(事業の再構築)であって、人とモノの削減だけを意味するものではない

今回の新型コロナの影響で、企業が生産活動を行えず売上が減少し、収益性も悪化。近い将来においても業績向上が見込めない場合、会社は“リストラ”を決断せざるを得なくなります。しかし、過去多くの会社でのリストラに向けた取組みは必ずしも成功しているとは言えません。
リストラしたのに、リストラに伴って発生する退職金などの負担が大きく黒字化できなかった場合もあるのですが、むしろリストラ実施後に成長のための活力を失い、そのままさらなる売上の大幅減少で倒産してしまうケースのほうが多いように思えます。
リストラは短期的に成果を出すことを目指すために、取組みの中心はどうしても人員の削減と資産の売却などになりがち。しかしリストラの意味は“Re-structuring”(事業の再構築)であって、人とモノの削減だけを意味するものではありません。厳しい市場環境の中でも収益をしっかりと確保できる戦略と体制作りが目的であり、その目的を満たすための取組みを行うべきなんですね。

現在、大手企業も多くの中小企業も本当に厳しい状況下にあると思います。でも、こんなときだからこそ、本当の意味での事業の再構築の機会と捉え、

① まず自分たちが参入している市場と未参入の周辺市場セグメントの成長機会の発見
② 自社の競争力の源泉とも言えるバリューチェーンの見直し(戦略)
③ その戦略で成果を実現するためのインフラの強化策

を考えてみたらどうだろうか。
もちろん、グローバルな視点で、競争相手や他業種企業から学べることは、徹底的に学んでみることも大事になるでしょう。

次に従業員満足についてです。まず、従業員満足と言うと“甘やかす”と思う人がいるかもしれませんが、甘えとはまったく無関係で、むしろ従業員の意欲やモチベーションと関係しているということです。

「従業員満足を高めない限り、顧客満足を高めることは出来ない」

今回の非常事態は初めての経験であるため、なにをすれば良いのかがわからず、従業員の士気はますます弱まっていることと思います。経営者が考えなくてはならないのは、従業員満足を高い状態にしておかないと、顧客満足を高めることはできないということです。これは従業員満足がない限り、いくら小手先のスキルやコツを教えたところで成果は上がらないということなのです。

確かに、従業員が自分の会社や仕事に不満を持ち、自分の仕事に一生懸命に取り組んでいないとするならば、お客さんや上司がその従業員に感動するわけではなく、まして信頼感を持つわけがないのです。
それでは、従業員は何によって満足するのか?やはり大事な考え方は3つあるのです。

① 取組んでいる仕事に意義を見出せるか
② 人間関係に良循環を生み出す要素があるのか
③ 正しく評価され、貢献したときに報いがあるのか

これらの、3つともすべて揃っていれば従業員満足が高まり、その結果として顧客満足を高める可能性が極めて高くなりますが、1つしかない場合は、まず無理と考ええていいでしょう。

会社に“人を大事にすることで業績を上げたい”という意思と行動力があれば、これらの3つを満たすことはそれほど難しいことではありません。“人を大事にする”という意識がないとするならば従業員による価値の向上はないと考えたほうがよいかもしれません。

従業員を“使い捨てのコマ”と考えている会社には、これらの3つのことに対する配慮が出来るわけがありません。会社が実現したいと考えている夢やビジョンの実現は、自己育成の機会を獲得する従業員のみによってそれが達成されると信じている会社だけに許されることなのです。

リストラと従業員満足をお話ししたのは、この2つは一見、相対するように考えがちであるものの、実は非常に密接していると考えているからなのです。この非常事態だからこそ、削減を目的としたリストラではなく、従業員満足を視点においた上での取り組みを目指し、みなさんには問題解決者として、活躍してもらいたいと思います。

文責:齋藤顕一

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2020/05/10 07:58 note掲載

今、必要な”問題解決という考え方”とは?

新型コロナの危機感も増し先が読めないこともあり、自分の価値を高めることが、生き残る方法ではないかと考える人が増えてきているのだろうと思います。

今後は、単に指示されたことができる人材ではなく、自分で考えることができて行動できる人材、つまりは個人の“貢献価値”が問われる時代が確実に到来している。

今回のコロナウイルスで、企業は不測の事態に対処できない自社の脆さを痛感しているので、新しい考え方を持って企業業績向上に貢献できる人材を求めている。学生さんたちも、企業で働く人たちもこのままでは、まずいのではないかとの危機感を持ち始めたのではないかと思います。

そこで、今日は、個人の価値を大幅に強化するための、わたしが実践して多くの企業業績を高めてきた「問題解決という考え方を学ぶ」ことについて、ちょっとお話していきましょう。

そもそも、問題解決とはなにか?という疑問を持っておられる人も多いとは思います。言葉としては聞き慣れているのでしょうけど、ひとことで言うとなにかが解らないですよね。簡単に言うと、問題解決とは単なるコンサルティングスキルではなく”企業や組織の業績を大きく高めるための考え方であり行動の仕方”なのです。
大きく捉えてみると、「問題解決」には3つの特徴があると言えます。

1. 問題解決とは変革活動
問題解決は改善活動ではなく、単なるコンサルティングでもない。大きな成果を実現するために必要な変革活動であり、それを実現するために必要な考え方であり、個々人やチームの行動の仕方を変えること。だから、大変だともいえます

2. 問題解決は学問ではなく、実学
問題解決は学問ではなく、実学ですから、学問領域として学校では教えていないし、本から考えを学べても成果を実現することはできないのです。問題解決の考え方は、実践して試行錯誤して初めて身につけることができるので、実践し成果を実現した人からの学びが非常に重要なのです。企業が10社あると、業績をあげられない原因は10通りあるため、自分の考え方の間違いを指摘されることが必要だからなのです

3.問題解決の考え方は差別化された能力
だから、問題解決の考え方を身につけることは差別化された能力なのです。学歴とも経験とも関係がない。実際に成果を上げられるか、結果を残せたかどうかだけが問われることになるので、やりがいがあるのです。わたしの仲間には、若くして、会社の業績を高めるための提案を上司や経営者に行い、実際に成果を実現し、より高いポジションを得た人は、信じられないかもしれないのですが数えきれないぐらいいるのです

問題解決とはなにか、のイメージがわいたところで、どのように考えることが大事なのか、を簡単にお話しましょう。大事な考え方はやっぱり3つで整理できます。

1. 行動する上での核となる大事な軸足を決める
例えば、自社の利益よりもお客様の利益を優先するというような考え方です。自社の利益のみを追求するとどうしても間違った活動につながりやすいのです。その考えが根底にあると、どんなに優れた施策もお客様の支持を得ることができないので成果実現が難しいのです。
今回の新型コロナウイルスについても、考え方の軸足を決めておくことは非常に重要ですね。それは、自分中心であってはいけないのはもちろんのこと、他の人のために何が出来るかを考え行動すること。もし、企業の生産活動において、人との接触が必要になった場合は、リスク回避を万全にしたうえで行動することになるというような考え方です

2.事実ベースを中心に特にお客様の声を聴く
経験に頼るのではなく、事実ベースに頼ると同時にお客様の声に耳を傾けることです。経済が成長しているときには、経験則も有効ですが、バブルの崩壊、リーマンショック、3.11、また今回の新型コロナウイルスなど世の中が大きく変化するときに、経験則の多くはまったく役に立ちません。なにが起こっているかを、事実ベースで理解することと、対象とするお客様の考え方を理解し、それを施策につなげることしか、生き残る方法はないのです

3. 論理的な考え方に慣れること
なぜ、問題解決に論理的に考えることが不可欠なのでしょう。普段、私たちが“これが問題だ”と認識していることは、むしろ“現象”を見ているだけで、問題をみているわけではないのです。売れる製品が開発できない、という問題認識をされる人は多いのですが、これはそういう“現象”が起こっているだけで、なぜ売れる製品が開発できないのか、の本質的な問題がわからない限り、解決法を導き出すことができないのです。売れる製品が開発できない原因は、深堀して考えると、おそらく数十通りのことが考えられるでしょう。それらの原因も、実はある根本的な原因から発生したものであるため、帰納法(情報を集め→分析し→まとめる)という考え方をもって、その本質的な問題を特定化する必要があるのです。そのように重要な考え方ではあるのですが、実はそのような論理的考え方をわたしたちは学校でも会社でも学んだことがないのです。だから、新たに学ぶことが大事なのです

問題解決の考え方は、試行錯誤しながら身につけていくものなので、すぐ成果を求める“気の短い人”には無理なのです(笑)。でも、高学歴の人のみが習得できるわけでもなく、他の人が普通に身に着けることができる能力でもないので、頑張ってみる価値は十分にあると思います。この機会に、新しい自分の生き方をみつけてみたらどうですか?

文責:齋藤顕一

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2020/05/03 22:44 note掲載

働き方改革はどないやっているねんや~?

みなさん、毎度です~。元気にしているか?
身体はもちろんやけど、心も元気にしているよね!

さて、たくさんの会社が緊急事態宣言を受け、リモートワークを導入しているねんけど、うまいこと成果を上げれる仕事をしているか?
もうすぐGW突入やね。あっ、ごめん!Stay Home Weekでした!
GW後もおそらく、リモートワークも平行して一部続くやろうから、
今のうちに、リモートワークの課題とかやり方をしっかりと考えておくのはええかもな。これこそ、本当の働き方改革や(笑)

僕が、耳にすることとしては、こんなことがあるな
「リモートワークって結構、効率的ですね」という肯定的な話から
「上司が仕事を丸投げしてきて死にそうです。」
「仕事をしない人が更に仕事をしない!」というネガティブな意見も、
もちろんあるけど、どちらかというと、期待されるほど成果を上げていないのが現状かもね。

もっとも、肯定的なコメントも、効率をはかるのは難しいので、実はあんまし成果につながっていないのかもしれないね(笑)
もともと、日本企業というのは、それまでやってきた仕事のやり方が正しいという前提で業務を行うことが多いので、ここで、頭を使って、ちゃんと自社自部門の業績向上に貢献出来る方法を考えながら、仕事をしてみるとええということや。

そこで、僕なりに、働き方改革をする上で大事になることを、ちょっとまとめてみたで。

① 自分の役割を理解する:
せっかくの機会なので、組織や会社が目指しているのはなんやろうと、まず自分なりに理解してみたらどうやろう。自分の役割を考え直してみるねん。まさか、言われたことだけ、正しいと信じてやっているわけやないよね~。

ちなみに、企業が目指すことは、収益を上げることではなく、対象とするお客様を喜ばせるためにはどうすれば良いのかを考えて行動することやで。それができると、結果として

売上があがり、収益もあがる。そのことを意識しながら、自分の役割が理解できるようになると、自分はどんな仕事をどのようにすれば、良いのかがわかるということや

② 具体的な仕事の内容を決める:
役割がわかると、その役割を実現するために必要な具体的仕事にはどんなことが考えられるかのリストを作成してみたらどうかな。大きな項目で考えることができるとええねんけど、難しいなら、やっている仕事を書き出してみる。そして、役割達成上、漏れていそうな仕事もリストに加えてみることや。仕事が増えるのが嫌や!と考える人は、あかんで~。

仕事を行う目的はふたつしかなくて、お客様を喜ばせるための仕事と、仲間を喜ばせるための仕事やねん。そやから、仕事が増えることは人を喜ばせることにつながるからやりがいがあるねんや。逆に言うと、その目的に外れている仕事はやめたほうがええということや

③ 自分の仕事の見える化をする:
そうしたうえで、自分の役割と役割を達成するために必要な仕事のリストを一覧表にして作成し、いつまでに完成させるかなど、優先度を考えたうえでスケジュールを決める。それを上司に見せて、自分の活動への承認を得ておくことも大事だね。承認を得てから、アドバイスをもらってからスケジュールに従って仕事をするわけや

④ コミュニケーションへの気配り:
チームで働いていることも多いので、絶えず連絡をとりあったり、やっていることの共有化は大事だね。週の初めとか金曜日の終わりとかに会議アプリを使って、全員の顔をみながら作業予定や成果について報告する会、生産性をいかに落とさないかなどを皆で考える会が定期的にあってもええね。仲間の顔をみるとホッとするし、みなの工夫から学ぶこともあるからね。それでテンションをあげたらええねんや。そやから、テンションのさがる発言や行動はあかんで。マネージャーは“良い問いかけ”を、行うと、仕事に進化が生まれるのでやったらええね

⑤ 会議は効率的に行う:
会議は目的ベースで参加者を選び、時間、アウトプットまで決めておく。あとは、対面じゃない分、アイデアを出す場合とかは、みんなと事前に資料共有は必須。参加者は必ず、自分なりの考えを簡単でもよいのでまとめて事前共有することが大事やな。これは新入社員であってもアシスタントの役割を担っている人でも、みんなでやるべきことやね

⑥ 仲間の生産性を高める工夫をする:
これは、なかなか難しいんやけど、リモートだとやる気をひき出すことがとても大事。やっている仕事は面白い!と思ってもらうことが大事で、
仕事を頼むときにはいつもよりも丁寧にガイドする、理解できるまで分解して説明する、などの工夫がいるな。褒める、感謝する、などは、普段よりも気を付けるべき。頑張った人が、報われるように人事とも事前に相談したりすることも大事になるね

あとは、せっかくなので、休み前にリモート継続における問題点やどの範囲までならリモートが可能か不可能か、起こるであろう売上減に対する対策、新型コロナ対応(チームメンバーやクライアントがコロナになった場合の仕事の引継ぎや対応方法)など、考えておいて、上司に提案しておくとええな

今回のこの緊急事態は誰も直面したことのない問題を日々解決していく必要があり、ますます個人の問題解決力が問われていると思うんです。

成長するチャンスと捉えて、がんばりましょう〜

ではでは、良い週末を

文責:齋藤顕一

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2020/04/24 15:18 note掲載

圧倒的営業力を持つ人はこんなことをしている

「営業の基本である製品知識、コミュニケーションの取り方、接客法、必要書類の作成法などを徹底している」、

「CS(顧客満足度)を高めるために、営業活動のプロセスを細分化して弱いところを強化している」、

「お客様の満たされていないニーズを理解することで期待値を超える製品やサービスを提供する」などなど、

営業力強化に取り組んでいる企業はたくさんある。

しかし、このような営業力強化策に取り組んでいるものの、期待した成果をあげきれていないのが現実。

ましてや、“営業の伝説となるような傑出した人材”を輩出することはまず出来ていない。

なぜか?

それは、本当の営業力はスキルではなく、“心の持ち方”の問題と関係しているからだ。

顧客の利益を第一に考えると言いながら、自分の利益や会社の利益をあげることだけを意識している人は、本当の顧客満足を与えることができないということ。

とすると、営業の伝説となる人はどのように考えているのか?

営業はもちろん、自分の“顧客”は大事にする(実は、大事にできない、大事にしていない人はいっぱいいる!)。

伝説になる営業は、自分のお客様を大事にする前にまず“人”を大事にするのだ。

その“ひとたち”は、そんな彼に感動して、そのあと彼の“お客様”になる。

もちろんそれだけでも、素晴らしいと思うが、伝説になる営業は“大事にする人”に認められるように自分を磨き続けることに努力し精進する。

心の持ち方と自分に厳しくなることがカギであるのだから、自分たちにも出来るはず。頑張ってみたいものだ。

車の営業の平均販売台数は月間4台程度。

私が会った“伝説の営業”は月間30台。

既に定年を過ぎ子会社に転出したけど、まだ月間25台は売っていると聞く。

彼は、人に気配りをする、人がどのようにしてもらったら喜ぶのかを理解してその人を喜ばせる。

まさに、“人の喜びを自分の喜び”と考え、そのように行動する。

彼が興味を持つ“人”は、その人が出来ているかどうかは別として“人を大事にすることの重要性”を理解している人だと言う。

まさに類は友を呼ぶわけだ。

だから、利己主義の人はやっぱり苦手らしい。

自分の営業成績だけを考え、どのように顧客に商品を売りつければよいかだけを考えている営業といかに違うことか。

自分の利益だけを考えた時には、すでに顧客満足の世界とは無縁の世界に入っているということ。

彼はまた、自分に高い目標を与え、その目標実現のために徹底的に努力する。

その目標値は、営業1年目から会社でNO1になることであったり、誰もなしえなかった販売台数であったりする。

それに向かってスピードを高めて取り組む。

仕事も早いし歩くのも早い。

自分と同じ類の人を喜ばせることを常に考えているので、いつのまにかお客様の数が増えていく。

困っているお客様にはその問題を解決してくれる別のお客様を紹介して、両方のお客様から感謝されて、また次の新たな人が紹介される。

そのような好循環が結果的に作られているのもすごいことだと思う。

ちなみに、彼は整備担当のサービスメカニック出身で営業の経験はゼロ。

車の整備をしているだけなのに、顧客からの直接指名があまりにも多いので営業に転向させられたとか。

もちろん、1年目で目標を達成し、まさに形として覚えるスキルではなく人を大事にすることがいかに重要であるかを証明してくれたわけだ。

人を大事にすることが出来ない人や、自分に高い目標を課しそれに向かって必死に努力する人が少なくなったいまこそ、自分たちの心の持ち方を見直してみる良い機会と言える。

文責:齋藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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事実の裏付けのない“一般論”は自社の問題に使わない

経営に興味のある学生や、管理職の人達また文字通り経営に携わっている経営者たちの中には熱心に本を読んだり、講演会に出かけたりして、大事な考え方を学んでいる人たちがいっぱおられる。
そして、それらの学びを、日常の事業運営で活用しようとする。これ自体は素晴らしいことだと思う。
ただ、時々、経営者や管理職のひとたちと討議していて気が付くことは、一般論として正しい考えではあるけど、自社の現状を正確に理解していないで、これらの一般論を使う傾向がいかに多いかということ。
例えば「国内市場は成長していないので海外に行くべきだ」、「現在の事業では成長には限界があるので、新規事業に取り組むべきだ」、「成長の可能性のある分野に積極的に投資をする」、というような“新たな成長を達成する上での重要な考え方”も、市場の魅力度や自社の実力度合や、その事業での成功確率に対する読みを事実ベースで評価できていない場合は、これらの考えは全く役にたたないどころか、会社を崩壊に至る道に誘導することになる。
一般論は一般論として正しいものの、これらの一般論が有効に働くのは“事実ベース”で自社を取り巻く環境や自社の現状を理解したうえで、しか起こらないことを肝に銘ずるべきだと思う。

 
リスクを取る話も、新規市場に参入することも、初めにこれらの考えがあって行動するのではない。
 
市場の魅力度や競争環境を理解することはもちろんのこと、自社の財政状況、バリューチェーン(VC)の競争力の度合、VCの各要素の連携がうまく取れているのか、またこれらの売上をあげる戦略軸の実現を可能とするインフラが整っているのか、そもそも企業の活動に取り組む人たちの意識は高いのか、という現状についての理解がファクトベースによって検証されていることが大前提になるのだ。
 
これらの事実ベースでの理解が十分にできていることが不可欠要素であって、それらの事実から導かれた意味合いを考えるときに初めて“一般論”が参考になるのだ。
 
一般論の議論を“乱発”する人たちの共通点は、新しい考えを学ぶことに貪欲であること、自分なりに目指したい姿についてのイメージをもっていること、でも事実ベースで自社の置かれた状況を正確に理解していないことなのだ。
 
自分が成し遂げたいことを正当化するために、一般論を“自分の考えを正当化”するために使う。これらの考え方は自社が業績を高めることが出来ない本質的な問題を理解しないで、ただ取り組み方だけを明示して進んでいくため、会社に致命的な損害を与えることにつながる可能性があるのだ。
 
問題解決は本から一般論として学ぶものではなくて、顧客から学び、事実から学ぶものであることを再認識する必要があるのだ。
 

文責:齋藤顕一

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BtoBにおいては営業部門において差別化を達成する

物が売れる時代には、製品開発が差別化の源泉であった。

しかしながら、売れない時代、つまり現在では、プロダクトアウト型のバリューチェーンでは、競争力を高めることができなくなってしまった。

「開発」は重要な要素ではあるものの、「開発」だけで会社の差別化は十分行えなくなっているのが現状だ。

一方、本来売上をあげることに直接かかわっている営業部門はどうなっているのか?

競争相手と比べてみると、同じように“初めに製品ありき”の営業であり、使っているツールも同じ、提案内容も“自社の製品をアピールすること”が重要であるところは変わらない。

営業活動も、訪問顧客を決め、アポ取りをし、ツールを準備し、商談し、受注と決済し、あと顧客をフォローするという流れも競合とはほとんど変わらない。

違いがあるとすると、どれだけ営業活動をうまくやれるかということと、営業個人の魅力度によるぐらい。

このことから考えると、営業部門の差別化をはかることで、競争優位を維持することができるのではないかと思う。

どのように差別化ができるのか。

顧客企業が業績を高めるうえでの課題を発見し、自社の製品・サービスにおいて解決提案し、それを実現するためのバリューチェーンを作り上げることだ。

この方法はかなり難しくチャレンジングではあるが、取り組む価値は大きい。

高度成長期にはプロダクトアウト型で成功することは、比較的容易で成果も大きかった。

新製品を開発して、それを営業が小売店に担いで行って、マス広告で認知度を高めれば、どんどん物は売れていった。

若い人の数も多く、年収は増え(もしくは増えると期待され)、車もバッグもブランドを持つことがステイタスとなり、欲しいものがいくらでもあった。

しかしながら、皆さんご存知の通り、バブル崩壊後は環境が大きく変化して、海外旅行にも留学にも興味はない、欲しいものはない、平凡で平穏なのが一番という人が増えてきた結果、いくら物を作っても売れない時代へと変わってしまった。

これだけモノがあふれてくると、自社の「新製品」は、他社の「既存の製品」であることが多い。

また、iPhoneのように新鮮な「新製品」はほとんどなくなり、目先を変えること、スペックを上げること、追加の機能を付けることが製品開発の大半になってしまう。

頑張っても、ニッチを狙ってターゲットのはっきりした製品にすることができるぐらいで、成果としての売上は小さくなってしまう。

医薬品業界でも、新しい物質は昔の何倍、何十倍に増えているが、実際に薬効のある新薬開発は難しく、2万の物質があっても、やっと1つの薬が承認される状況で、開発効率は90年代の半分以下になってしまっているそうだ。

承認されても昔の様にブロックバスター的に大きな売上げを上げられる薬は出てこない。

このような環境では、「開発」は重要な要素ではあるものの、開発だけで会社の差別化を十分に行うことは困難となってきているのが現状だ。

とすると、現代における差別化はどのように行うのか。

営業における差別化ではないかと思っている。他社とそれほど製品は変わらなくても、顧客の課題を理解し、課題を解決するための方策(売上増、生産性の向上、コスト構造の変換、など)を自社の製品やサービスをすすめることで成しうることができれば、顧客は喜び、結果業績は伸びていく。

初めに製品やサービスありきではなく、顧客の満たされないニーズに応えることを目指すわけだ。

労働力調査を見ると、従業員に占める「販売従事者」つまり営業は12%いる。

この人たちの力を生かすことができれば、大きな変化になるはずだが、営業は個人のスキルにゆだねられていることが多い。

同じ会社の営業の人に、どんな流れで活動しているかを聞くと、人によって異なった流れを言うことが多い。

スタートがアポ取りから始まる人もいれば、情報収集から始まる人もいる。最後が契約締結で終わる人もいれば、フォローの人も、次の受注につながる活動になる人もいる。

この、アプローチに対する認識の違いは大きい。

でも、営業活動は本来このように行うべきだ、という知恵が共有されておらず、個人的な活動になってしまっていることも成果をあげれない原因のひとつだ。

組織として提供している製品、営業ツール、販促物、営業教育は、すべて不特定多数の顧客向けに開発されたものであって、特定の顧客セグメントに対応したものではない。

営業の問題は、個々人の問題であり、同時に組織の問題でもある。

今こそ、個人スキルと組織スキルを上げて、営業での差別化を考える時期に来ているのではないか?

文責:齋藤顕一

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