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効果的な教育には参加者の意識をまず変えることが不可欠

教育プログラムは、ビジョンや戦略から考えて設計していくことが重要であると前回の語録で説明したが、いくらプログラム自体が優れていてそれを教える人材が優れていたとしても、参加者の成長に関する意識に問題がある場合は大きな効果を期待することは出来ない。
就職活動でも学生が企業を選らぶ基準として、充実した教育プログラムをあげることが多いが、個々人を成長させるのは企業ではなくて自分自身にあることを理解する必要がある。

「問題解決の考え方」を教えていると、受講生によってなぜこんなに理解度が違うのかということについていつも考えさせられる。

まさに、“なぜ理解度が人によって大きく違うのか”の答えが解らなければ、教えることの効率と効果を高めることができないからだ。

問題解決の考え方の多くは、学校時代に学べることでもなく、まして企業で学べるわけでもない。
要はゼロから学ぶ人が多いために、考える力がある人たちが受講生であることを前提とすると、理解度においてそんなに大きな差がでるとは考えにくいからなのだ。

教えるときの受講生の数はせいぜい20~30名と少数であるため“居眠りする”ことは難しいし、多くの場合は選抜された人たちで優秀であるはずであり、個々人への質問の違いは若干あるとは言え、同じ資料を使い同じ説明の仕方をしているので、学びの条件はほぼ同じである。

それでも、すごく出来る人と“思考停止しているかの人”が存在しており、これを単に問題解決に“向き、不向きがある”ということで済ませるわけにはいかない。

ここで受講生にインタビューをしてみて初めて解ったことは、理解度の違いは“学びに対する姿勢や本人の意識”にある可能性が高いことだ。

“考え方を学んだとしても、そう簡単に能力が高まるはずがない”と思っている人、“自分は人事部に言われたから研修に参加しているんであって、本当は現場で仕事をしていたい”と考えている人、“自分の能力はかなりレベルが高いので、いまさら研修なんて必要がない”と考えている人たちは、恐らく”慣れていない新しい考え方“を受け入れることを無意識に拒否している可能性があるのだ。

そのような姿勢を持っている人の考え方は結局今までの思考方法と変わらず、“方程式を覚えるがごとくに考え方を「記憶」してそれをいろんなケースに当てはめて考える”ということになる。

それは考え方を「理解」したわけではないため、本来の目的を満たす最適なアプローチを考えだすということができていないということなのだ。
それが結局、人の学びの差につながっているのだ。

効果的な教育は、まず人の学びに対する意識や姿勢を変えることにあり、一連の教育プログラムの一番最初に“効果的な学び”についての“講義”を行うことは極めて重要になる。

文責:齋藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
無断転載はご遠慮下さい。

教育プログラムも業績向上の視点から考える

今までの“成功体験や経験”だけで、事業運営を行うことが難しくなったためか、企業は管理職や一般職の教育により熱心になってきた。
確かに企業の意識としては社員教育の充実に向けて進んでいるのではあるが、“ある明確な目標を持って人材教育を体系的に考えている企業”はまだまだ多くはない。
人材育成に熱心な企業では、担当部門である人事部や総務部が、プログラムの内容や、誰がどのようにいつ実施するのか、などを考えるのであるが、どうしても総花的になってしまう傾向がある。
ともすれば“育成”することが目的であることを忘れてしまって、“教育プログラムの実施”が目的になってしまったりするからだろう。
本来教育プログラムは、マナーやコンプライアンスなど社会人として基本的に学ばなければならないものは当然含めるとして、会社の業績向上に貢献できる人材を育成することが重要であり、そのためのプログラムを設計する必要がある。
会社の業績向上とは、優れた戦略や卓越したオペレーション、社員のやる気のマネジメントなどを実現させることからなっており、教育プログラムはそれらを学べるものでなければならない。

企業での研修プログラムというと、新入社員教育、管理職研修、また階層別研修、機能部門別の研修など、人材育成に熱心な会社であればあるほどプログラムの種類は多岐にわたる。

企業における人材育成の目的は、“世の中の役に立つ人材育成”や“良き企業人”というような抽象的なものだと、育成プログラムは自然に総花的にならざるを得なくなる。

総花的な研修しか提供されないと、社員も自ずと“研修を受けさせられているモード”に入っていく。このような状態になると研修に対する投資効果は大きく低下することになる。

人を“使う”ことに熱心で、“育成”することに興味のない企業は論外であるものの、社員の育成を真剣に考えるのであれば、まず自社のクセや継続的な成長の阻害要因となっている重要な問題点を理解し、解決のための施策を考え、それに基づいて人材育成を考えるのが正攻法といえる。

社員にとって自社の企業業績を高めることに貢献できる考えやスキルを学ぶことは“個人の達成意欲を刺激する”ことでもあり、教育を受動的に捉えるより積極的に考えるようになることも大きなプラスといえる。

教育プログラムの内容を考えてみると、当然“競争優位を持続させることが出来るような施策”を考える問題解決スキルは必要であるし、それらの施策を他のメンバーに伝え行動に移させるスキル、つまりは“演繹的に考える力”や、“コミュニケーション力”、“リーダーシップ”など、も大事なプログラムと言える。

と同時にもっとも重要な“考えの軸足をどこに置くか”というような、個人の姿勢や生き方を決定させる上で重要な“価値観の形成”についても学ぶ機会は“歯車的人材を造らない”ためにも不可欠な要素となる。

文責:齋藤顕一

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判断力を養う

判断力はビジネスの現場だけではなく、日常生活で求められることも多く、その能力を持っていることはかなり高く評価される。
判断する能力があるということは、決断力があることにもなるからだ。判断力を求められる場合とは、多くの場合どうしていいかわからない困った状況で決断を求められるときであり、ともすれば単にYESあるいはNOで答えることよりも、みずからの考えを求められるために、困難さを感じることになる。
そのため、“判断すること”を避けるために、そのような役割を担うことを拒絶したりすることも起こる。
それでは、どのようにその判断力を増せばいいのか。
それはロジックでじっくり考えて判断するというよりも、反射的な対応が必要であり、結局は自分なりの判断基準をどう持つかが重要となる。
その判断基準とは、自分の体験の積み重ねによって生じるものであるため、判断力を養うためには、状況を理解し、考え、行動し、その行動が正しかったかどうかを検証することを絶えず行う必要がある。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
ビジネス現場で決断しなければならない場面は、役職や責任が重くなればなるほど多くなるし、そこで優柔不断になることはリーダーとしては許されない。
 
決断しないことは、企業にとって競合優位を維持する上で重要な“スピード”を削ぐことを意味するし、それ以上に大事なことは部下からの信頼を失い、リーダー不在の個人任せの組織になってしまうからだ。
 
正しい決断とは正しく状況を判断することから初めて可能となるが、どのようにすれば状況を正しく判断できるのだろう。
 
状況を理解するために当事者の話をしっかりと聞くことや、事実ベースのデータを分析する余裕があれば、より成功確率の高い判断を下せる可能性は高くなる。

 
 
しかし、現実的には即断・即決を求められることが多い。その場合は自分の判断力に従うわけだが、それを磨くためには“本から学ぶこと”ではなくて、“自分の体験から学ぶ”必要がある。
自分で考え、行動しそれで成功した場合を“判断基準”として採用するわけだ。
 
私はその時の考え方や行動の仕方を“成功のための原理原則”と呼んでいる。
それは決して、細かい具体的なことではなく軸足となるものなのだ。
 
例えばそれは、「顧客の利益を自社の利益より優先する」、であったり「困難に直面したときは、逃げないでチャレンジしたほうがダメッジは小さい」、「提供者の視点ではなく、受益者の視点で考える」、「売上や利益などの数字は行動の結果なので、数字達成の方法を正しく知らせない限り本当の成果はあげられない」などである。
 
そういったものは、自分なりに考え、行動した結果として学習したものなので、その判断基準に対する絶大なる信頼があり、判断が求められるとき正に体というか頭が反応することになるのだ。

 
文責:斎藤顕一

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人材育成の軸足を決める

企業で人の育成が大事であるということに反対する人は誰もいない。企業で人の育成が大事であるということに反対する人は誰もいない。
しかし、企業という組織の中で、企業が目指している目標を達成するうえで

“大事にするべき人とはどんな人か”について、

しっかりとした考え方が持たれているかどうかは疑わしい。

人は千差万別で人よりも優れているところもあるし、劣っているところもある。

それは人間だから仕方がない。
しかし、企業において、能力の如何にかかわらず

“今までの路線を継続することしか考えない”、

さらには“成長することを放棄し現状維持を決め込む”人は、いくら他に良いところがあったとしても、

企業の中では大事にするわけにはいかない。
その人たちは、新しい環境における問題にチャレンジし、自分を成長させ、

企業業績をあげようとしている人たちに悪影響を与えるからだ。
逆に、人がどんな失敗を過去におかそうが、

あるスキルに関するレベルが低かろうが、

一生懸命努力し自分の弱みに取り組み、

自己の成長を目指している人たちを“大事にしない”のは大きな間違いと言える。
企業は、しっかりとした軸足を持っていなければ人の育成はできないことを理解すべきである

少子化が進む中、入社して2~3年で退職する若者が増加傾向にあることに加え、

頑張る意欲を持たないサラリーパーソンが

70%も存在していることは企業にとって大きな脅威になりつつある。
この危機感の高まりの中で、

“人はOn the job trainingで学べるはずなので新たな教育は必要ない”と

教育をほとんどやってこなかった企業の中にも、

やっと今までの間違いに気がつき始め、

真剣に人の問題に取組み始めたところも出てきた。
競争環境が大きく変化する中で企業業績を向上させるためには、

新しい事業の立ち上げや社員の生産性を向上させるための取組みが必要なのだが、

既存のレールの上ではうまく仕事をこなせる人間はいても、

新たな取組みを構想しそれらを実現させる方法を考え、

行動できる人間がほとんど社内にいないことに気がついたのだ。
役員や上級管理職は、

まさに自分たちの過去がそうであったように、

自分たちに忠実で頑張っているように見える人たちを大事にして高く評価しがちである。
ここで、管理職に対して360度評価をしてみたらどうなるか。

必ずしも役員や上級管理職に評価されている人が、

部下から評価されているとは限らないことに気がつく。
今までの取組みでは問題の解決にならないことが分かっているのに、

新たな施策を考え提案し実施することもできない人は数多くいるだろうし、

むしろ取組み方がわからないので部下任せにしてしまう管理職が多いことに驚くはずだ。
人事施策がいくら優れたものであろうとも、

役員や上級管理職が

“企業変革に大きく貢献してくれる人材とはどのような人であるか”について

軸足をしっかりと定めていないと、

企業が本当に求めている人材を育成することはまず出来ないと考えたほうがいいだろう。

文責:齋藤顕一

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競争力強化のためのバリューチェーン

今のようにGDPがほとんど伸びない経済環境では、売上を伸ばし続けることが企業にとっての大きな目標となるが、その中でも企業が特に重要と考えていることは競争企業に比べてより高い成長率を達成することだろう。
その実現のためにと、企業はすぐに販売力の強化を考えるが、これだけでは決して正しい取組みとは言えない。
他社より売上をあげるためには、シェアを増やすことが大事である。
シェアとは競争力を強化することであって、販売力以外の要素も多くの場合、強化することが求められるのだ。
まずは自社のビジネスシステム上の問題がどこにあるのか、また各ビジネスシステムの要素は連携がとれているのか、などを検証し優先度をつけて取組むことが重要となる。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
経済成長が鈍化すると、多くの企業の売上も思うように伸びなくなる。
 
企業はコスト削減やリストラに取組むものの、それは活動制限につながることが多く人の意識に悪影響を与えることは否めない。
そのため、企業はなんとしてでも売上を増大させようと努力する。
 
このこと自体は正しいが、よくあるケースは売上を増大させるために“販売力の強化”だけに取組むことだ。
 
売上増大施策の優先度を考えた場合、販売力の強化はすぐに成果につながりやすいという観点では正しいものの、販売力を強化しただけでは売上を継続的に増大させることは出来ないことを理解すべきだ。

 
競争相手に対して優位性を確保しない限りシェアは増大しない。
つまり市場が急激に成長していない限り、売上を増大させることはできない。
 
シェアとは競争力の度合い、つまり強さを表しており、競争力とは販売力だけではなく、製品開発力、コスト競争力、マーケティング力やサービス力も重要な要素となる。
 
ここで大事なことは、競争力を強化するために“競争相手”と自社を比較する以上に“顧客がなにを求めているかを理解する”ことなのだ。そうすることで、なにを強化すればいいのか理解できるようになるのだ

 
ビジネスシステムはバリューチェーンとも呼ばれており、それぞれの要素を強化したとしても全体が連携していなければ“競争力”は高まらない。
 
企業が提供する価値は、ビジネスシステムの各要素が強化され、それらがまさに“鎖のようにつながって”(バリューチェーン/Value Chain/価値連鎖)初めて大きなものに変わるといえる。

 
文責:斎藤顕一

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優秀な管理職をもつ会社になるために

企業運営において管理職の役割は極めて重要であるにも関らず、役割を遂行できる人材を登用し育成しているケースは決して多くない。
ともすれば、管理職になれる年齢層で、過去からの上司受けが悪くない、目立ったミスもない、昇格試験にパスした、という理由から管理職になっているケースが多いのではないだろうか。
しかし、本来、管理職は会社が目指す目標を実現させるためにチームを率いていくリーダーであり、施策実現の方法を具体的な行動レベルまで落とし込む能力や、チームメンバーを育成し成果をあげることが出来るように支援する能力が必要になる。
企業は、管理職の役割を再定義し、人選の方法や評価の見直しを行うと同時に、管理職が自分自身を磨くための考え方や行動の仕方を徹底的に教え込む必要がある。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
管理職が企業業績を高めていく上で極めて重要な役割を果たす立場にいることに反対する経営者は皆無だろう。
にもかかわらず、なぜ多くの管理職が期待された仕事をやれないのか。
 
もちろん本人の問題が大きいことは否めないものの、実は企業側の問題のほうが大きい。
 
企業側の問題とは大きく分けて、役割を明確化できていないこと、管理職の選別基準が間違っていること、管理職を育てるプログラムを持っていないこと、の3つである。

 
 
管理職は“偉さを表している”わけではない。
企業が目指す目標をチームメンバーの力を最大活用しながら実現していく役割を担っている。
 
管理職は“役割”であるため、まず企業が期待している役割を明確化しないかぎり管理職としての役割を果たしようがない。
 
人やお金という資源を最大限に活用しながら企業が目指している目標を達成することが重要な役割であるため、人の育成に興味のない人や、投資効率や効果を考えることが出来ない人や、施策を具体的な行動レベルに落とし込もうとする意欲が欠如している人がそもそも管理職に選ばれてはいけないのだ。
企業は間違った管理職を選んだ代償として会社の将来を危うくする可能性があることを理解すべきだ。

 
 
もちろん、将来の経営層になりうる可能性のある人材を選抜できたとしても、その人たちを育成できるかどうかも重要な課題となる。
 
会長や社長が自分の経験を語ることは、企業の価値観を理解させ軸足を決定するうえで極めて重要であるが、取り巻く市場環境を事実ベースで客観的に理解して施策を考える方法、自分の仲間を励まし・支援し・育成する方法については新たに学ぶ機会を提供する必要があるのだ。
 
これらのスキルや能力の取得には、人の経験から学ぶことだけではなく、論理的に“成功確率の高い方法を理解する”ことが重要となる。
 
ただし、ここで注意してもらいたいのは企業側が提供できることには限界があるという点である。
 
結局、個々人に高い意識を持たせ、「自分を成長させるためにはどうしたら良いのかを考え、自ら行動し、レビューし間違ったところは修正する“クセ”」を日々の活動からつけさせることが出来るかどうかが優良なリーダーを創りだしていくことになる。

 
文責:斎藤顕一

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企業のクセを理解する

企業の業績変化や企業活動を長期に分析している時や、クライアントチームメンバーによる実際の活動報告を聞いていると、”なぜこんなことが繰り返して行われているのか“ということに気がつくことがままある。
これは決して一時的な現象ではなく、企業の中に長年にわたって起こってきた“役員を含めて社員共通の行動”とも言えるものである。
これを私は“企業のクセ”と呼んでいる。クセの多くは間違ったクセであり、企業業績を高めるうえでの障害になるものが多い。
それらはクセであるため指摘されて本人達は初めて気がつくが、同じ間違いを何度も繰り返してしまう。
“クセ”とは長年の蓄積によって築かれたものであるため、解決法は“何度も何度も繰り返して正だす”ことしかない。
企業のクセはさらなる悪癖につながるため、早期に対処することが大事。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
嘘をついているときに目をきょろきょろさせる、恥ずかしいと思ったときには頭を掻く、など個人には愛嬌のあるクセもあるが、時間を守らない、人を待たせるなど、人の迷惑になる悪いクセもある。
 
企業にももちろん多くのクセがあり、それらは企業業績を高める上で大きな障害になるものも少なくない。
 
例えば、会議はともかく“切り”がくるまでだらだら続ける、時間を守らない、またなにをするにもスピードが遅い、というクセは企業の生産性やモラールに大きな影響を与える。
 
チームで仕事をすることの意味や方法を学んでいないため、仕事が属人化してその人が辞めるとノウハウがなくなってしまうという由々しきクセもある。
 
中には、正しいことを言う者が偉いというよりも、単に組織の長の意見に従うことが偉いと常に考えてしまうというクセもある。
 
業績をあげるための施策を考えることが出来ないため、やたら組織変更をして“なにかした気になる”クセもある。
 
これらのクセは実は経営者レベルのクセが伝播・継承されてきたわけで、まさに“上に習え”式に作られてきた悪癖であるわけだ。

 
 
大事なことは “企業のクセ”をいちど客観的に整理してみることだ。
 
企業のクセは“蓄積されたもの”であるため、多くは会社のクセに汚染されたシニアの人たちが先導している。
そのため、若手の優秀な人たちにインタビューしてみることや、人をサポートする立場にいる一般職の人や秘書の人たちに話を聞いてみるとクセが浮き彫りされてくる。
 
あとは、それらのクセがどれぐらいコストや生産性に影響を与えているかを分析したりすることで、まずそのクセが企業行動に与える大きさを明確にすることだ。
 
そして、その問題がなぜ起こっているのかを理解することで解決法を考えるわけだ。
解決法を考えるには優良企業から学ぶのも大事な方法だ。
 
決めたら徹底的に繰り返してクセをなくしていく。これらのクセの問題に取り組むのにも結局“問題解決のアプローチ”が有効になるということだね。

 
斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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変革の際に踏み込まなくてはならない領域

問題解決アプローチ使って実際の企業の問題に取組み、論理的に導き出された解決法を実践すると確かに企業業績は向上する。
その取組に出来るだけ多くの従業員を参加させることで業績はさらに上向きに推移することも実証されている。
しかし、ある時点でなんか停滞感を感じ始め、月間ベースでの業績向上のスピードは遅くなることに気がつく。
取り組んでいることに“はずみ”がつかなくなってきているのだ。
なぜか。それはトップが全身全霊を込めて企業の変革にとりくまないことに起因することが多い。
新しい施策を従業員が実践することで成果はでるのであるが、それは今までやっていなかったことをやるから成果があがるのだ。
しかし、本当の企業の実力は、従業員が出来ることだけで達成できるのではなく、ともすればトップがやりたくない“人の問題や組織の問題”にもメスを入れることで初めて本当のものになるのだ。
トップが自らの生き方や経営観を変え、大きな勇気を持って取り組む必要があるのだ。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
継続的な業績向上を目指す企業のトップに求められることは極めて厳しい。
 
トップは単なる会社のシンボルでもないし、業績がすぐれた会社から学べることや大学教授が語る経営論を伝えることでもないし、自分がトップにいたった長い道のりで学習してきた成功体験を部下に語ることでもない。
まして過去の先輩たちが築いてくれた“正の遺産”に胡坐をかくことでもない。
 
トップは企業が目指すべき姿や方向性を示すことが大事なことは言うまでもないが、そのためにはトップは顧客それも企業にとって厳しい意見を述べてくれる企業や消費者の声を直接に聴き彼らを喜ばせる方法を考えることであり、従業員の話に耳を傾け人材を最大限に活用する方法を考えることなのだ。
 
そうすることで初めて、業績向上の施策を具体的に考えることができるし、正しい判断もできるからだ。

 
 
売上をあげるための取組は、多くの場合は事実データに基づいた結論であるため説得力もあり、トップもそれらの施策を遂行することにそれほど大きな抵抗を感じることは少ない。
 
しかし、これらの取組を最大限に生かすためには、その原動力となっている人の問題やその人たちの生産性を高めるための組織問題を解決する必要がある。
 
しかしながら、この問題は論理で説得しきれるものではないし、ともすれば感情の世界になるため、トップは出来れば避けたい課題なのだ。
 
その“避けたい意識”は従業員にすぐに見破られるものであり、変革の取組自体に限界を感じ始めるのだ。
 
結局、変革への取組をトップや役員がいくら声高々に叫ぼうが、自分たちが避けて通りたいことにチャレンジしない限り結局、挫折することになるのだ。
 
企業業績を継続的に高めるという大きな目標を達成するためにはトップは自らを“つらい立場に置く”ことがまさに求められるということなのだ。

 
文責:斎藤顕一

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計画立案のために重要な夢やビジョン

企業には中期経営計画や年度計画というものが作成されている。
その多くは数値目標であり、時にはそれを実現するために必要な行動を提示してある場合もある。
しかし、これだけでは、会社の構成員を自ら進んで行動させ業績向上に貢献してもらうことは難しい。
人を動かすには、その人たちに会社や事業部が進もうとしている夢やビジョンを示す必要があるのだ。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
企業には数値目標なるものがあふれている。
数値はどんな人にも理解できることであり、それを目標値として設定することで、人が頑張ってくれる可能性があるからである。
 
しかし、多くの会社を見てみると、掲げられた数値目標をちゃんと達成しているところは極めて少ない。
それは会社から“低い目標ではなく常に高い目標を設定されているから”かもしれないし、“インセンティブが十分でない”からかもしれない。
 
しかし、実態はむしろ、個々人にやる気をもたせるような“経営の基本”となるものが欠けているからだろう。
それは報奨制度や組織体制といった“形”ではなく、みんなで一緒に達成したい“夢やビジョン”と言われる“感性に訴えるモノ”なのだ。
 
企業経営者は“なんとなくこんな会社にしてみたい”とおぼろげながらのイメージを描いているものだとは思うが、それを実現させるために、一挙に具体的な取組に落とし込むことには無理がある。
 
人によっては、自分の描くイメージを抽象的ではあるが言葉によって説明しようとしたり“夢やビジョン”という形でもう少し具体的に表現しようとするはず。
 
これが、中期計画や年度計画の原点になるものであって、これがない会社は単なる数字ゲームをすることになる。

 
 
もちろん、夢やビジョンがあったとしても、その次に急に数値目標に持ってくるわけには行かない。
 
なぜならば、夢やビジョンと数値目標の間には長い距離があって、社員はそれをつなげることができないため、結局は数値だけに目が向くことになる。
 
夢やビジョンは“大きな概念”であるために、それらを“実現する上での大事な行動指針”のようなものにさらに落とし込む必要があるのだ。
 
そうすることで会社のメンバーは数値目標の意味を理解し、会社が示した具体的な行動だけではなく、行動指針に基づいて夢やビジョンを達成するために必要な行動を、自分の頭で考え行動し始めるのだ。
 
その考えることと行動することが一緒になることで、企業に活力が生まれるのだと思う。

 
文責:斎藤顕一

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成長によって得られる3つの資産

自分を磨き続け、自分を成長させるのはなんのためか? 
それは“資産形成”に他ならない。
“資産”とはなにか。3つある。
良い家族や友達また仲間を得ることが1つ目の大事な資産だ。
2つ目は知識であり知恵という資産だ。
そして、3つ目にその結果としてくるのが金銭的資産だと思う。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
私は、いろんな所で「企業業績を継続的に高めていくためには、戦略的な施策や戦略立案のためのインフラの構築は不可欠である。
 
しかし、もっとも重要なのはそれらの取組みを実現させる“個々人”が強い変革への意志をもって自分を磨き成長させることが出来るかどうかにかかっている」という話をする。  

 
 
大半の人は“自分をしんどいことに追いやっても、得られるモノが極めて少ない”と考えていて、自ら努力を強い続ける人はそんなに多くはない。
 
特に、所属している企業体質が変革を求めるようになっていないとすると“努力はまず報われない”と、まず自分に負荷をかけることはしない。
 
できるだけ、波風立てないで、目立たないように組織に身を任せることを“良し”としていたり、そうならざる得ない状況にあえて身をおいていまっていたりする。
 
なぜそうなるのか。
それは、「自分に負荷をかけ自分を磨く」目的が定まっていないからだと思う。  

 
 
だから私は敢えて成長することの重要性を訴える。
 
「会社や社会に貢献できる人間になろうと一生懸命努力し行動している人」は非常に魅力的に見える。
だからこそ、その人の回りには“良い類”が集まり、おもしろいネットワークを作ったりする。
 
成長することを目指して自分を磨く人は、闇雲には取り組まない。
達成したい目標をクリアするために、必要なスキルや能力を明確にする。
そして自分の強みや弱みを理解し、自分のレベルをあげるために他人の知恵から学ぼうとする。
 
人から学ぶことは知識ではあるが、それらを“使い慣れる”ことで知恵に変えていくことができる。
 
多くの優れた人に恵まれていて、知恵があり、考えることも出来てそれを行動に移せる人は、貴重な戦力なのでどんな組織からも求められる。
 
そして、より大きな責任を与えられることで結果的により多くの報酬が支払われる。  

 
 
自分の資産作りのために、自分を磨き成長させることにぜひエネルギーを私自身も使っていきたいし、皆さんにも使ってもらいたい。
 
ただし、これらの資産は、どれかが欠けたり、バランスが悪いと自分が成しえたいと考える資産形成ができない。
 
良い仲間がいると知恵が増えるしお金も増える、知恵があると良い仲間が増え、チャンスが広がりお金も増える。
 
お金があっても、良い仲間が増えるとは限らないし“知恵”がふえるわけではないことを肝に銘じながら努力することが大事になる。

 
文責:斎藤顕一

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営業の3つのスキル

営業の新しい3つのスキルを開発する 市場全体が大きく成長しているときには、単に商品・サービスの良さを売り込んでいるだけで結構売上につながった。
現在のように成長力が乏しい市場環境において、顧客の価値観の多様化が進むと同時に“賢い”顧客が増大してくると、おのずと営業にもより“賢明”な対応が求められるようになってきた。
このことに気がつき、早期に営業のスキル開発を行った企業が、強い販売力を持つことにつながるのだ。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
日本経済が成長している時代に、商品力や製品力で成長を果たしてきた会社は、当然その強みである商品・製品開発力で新たな成長を築こうとしてきた。
 
ただこのような、バリューチェーンの川上に位置する商品・製品開発力が強い会社の場合、その川下に位置する営業力はともすれば、弱くなる傾向があった。
 
強い商品・製品を提供できる会社の営業にとっては、優れた商品・製品を持っていたため顧客からの問い合わせに対応するという“待ちの営業”を行うことが当たり前のことになっていたためだ。
 
待っていても顧客が問い合わせてくる場合、対応力が重要で、顧客開拓力はそれほど重要ではなかったからだ。
 
成長している時代には確かに“アイデアベースの商品開発”や“シーズ中心の製品開発体制”でも成長する。
しかし、営業が顧客開拓というより、引き合いのあった顧客をいかに取り込むかだけに関心を持つようになると、大きな問題を生むことになる。

 
営業が担当している個別顧客の求めていることは理解できていも、“顧客の共通するニーズ”を理解することがまったく出来なくなり、“顧客のニーズをベースにした商品・製品開発が出来なくなる”ことだ。
 
元来、商品優位、技術優位であったため、強い営業体制を築くことが出来ず、それが結果的に“開発体制を弱体化”させるわけだ。
 
そのような状況を変え顧客中心のバリューチェーンを構築するためには、求められる営業の像を明確にしたうえで、出来るだけ早い時期にその役割を担えるように育成することが大事になる。
 
どのような役割を果たすべきなのか。
営業には大きく分けて3つの役割があり、そのスキル開発を行うべきだ。

 
一つ目は、もちろん既存の商品・サービスを売ること。
 
二つ目は、次にどのような商品やサービスを提供すればいいのかの情報を顧客から獲得し、共通したニーズを理解した上でそれを開発に伝えるという重要な役割だ。
 
三つ目は、顧客に正しい質問をし、その答えについて新たな質問をすることで、顧客も自分も気がつかなかった“新しい需要”についての考えを生み出すことだ。
 
相手のニーズを理解することは製品の改善・改良を行う上で重要ではあるが、お互いに気がついていない“隠れた需要”を探し出すことは成長のサイクルを考える上で極めて重要となる。
 
これらを達成するためには、営業にも問題を発見する能力や正しく質問する力、人間力を磨くことが重要になることは言うまでもない。
 
文責:斎藤顕一

斎藤顕一語録の著作権はフォアサイト・アンド・カンパニーにあります。
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分析のための考え方

分析の方法を何通りか知っていることは大事なことだけど、分析手法だけを学んでも、問題の本質を発見することは難しい。
まずはデータをチャート化し、そこに描かれたことから、「なぜそんなことが起こっているのか」と考え、その理由がわかるように更にデータを集め“また考える”という、クセをつけることが大事。
それが出来ると、初めて既存の分析方法が生きてくるのだ。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
“価値ある情報を集める”と“価値の高い分析”につながることが多いわけですけど、そもそも分析するとはどんなことなんだろう。
 
本屋さんに行くと、いろんな分析手法本があるんですけど、なかなか高等な技で誰がこれを買い求めるのか、をいつも不思議に思うのです。
 
そもそも、数字をPC、電卓、はたまたそろばんで計算したところで、計算したいことの結果はわかっても、収集した多くの情報からなにが起こっているかを発見することは難しいですよね。
 
そこで、分析手法なるものを知ってそれに数字を放りこんで、結果をみる、ということが起こるんでしょう。それもやらないよりはましかもしれないけどね。
 
 
お勧めは、まず考えるための材料となる数字、それも市場全体とか会社の売上の推移とか、大きな絵が描けるように、それも時系列で見れるようにチャートを書いてみることなんです。
 
そうすると描いたグラフを見ながら“なぜ減少しているのか?”とか、なぜここでピークになってそれから減り始めたのか、ということを“考える”でしょう。
それが大事になるのです。
“疑問を持つ”と次に、当然のことながらその疑問を解くために、それがわかるような情報やデータに着目するでしょう。
 
そしてまたチャートを書いて考える。
あるいはある人は、大きな流れがわかるデータや情報を何枚もチャート化して、それら全体から言えることはどんなことだろう~と考え始めるかもしれないですね。
 
そしてそれから、今度はそれぞれのチャートについての疑問を更に分析していく。
それが“考える”ということなんです。
 
なぜそうなっているかを理解するために、過去と比較したり、他の会社と比較したり、他の事業部と比較したり、なにかとなにかの相関関係をみたり、グループに分けて違いをみたり、時間軸で人の時間の遣い方を評価したり、するわけです。
 
単独の数字では理解しにくいので、“なにか比べること”が大事なんです。
そのように“考えることができる”と初めて“分析の仕方を知っていること”が生きてくるのです。
 
分析の仕方だけを知っていると、たくさんのグラフはあるけれども、そこからなにが言えるかが、結局よくわからない状態になってしまうのです。
ですから、まず考え方を学び、それから分析の仕方を学ぶほうが効果的なのです。

文責:斎藤顕一

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成長は伝播する

人が成長すると、周りにいる人も刺激を受けて成長する。
そうすると部門が成長し企業も成長する。企業の発展は、どれだけ“成長志向の人たち”を持ちえるかにかかっているとも言える。

(斎藤顕一)

 
【解説】
 
多くの人たちは、人は年を取るにしたがってそれなりに成長するものだと考えている。
 
確かに人は生きている限り当然のことながらいろんなことを経験するし、いろんなことを見聞きすることで知識も増え、それを成長と考えているのだろう。
 
しかしながら、実際には、それらのことは“齢を重ねる”とは言うが、決して成長とは呼べないものが多い。
 
企業を例にとって見ても、企業で長年暮らした人を“成長している人”と呼ぶかと言うと、決してそんなことはない。
 
企業で“成長している人”とは、他の人と経験年数や年齢が同じにもかかわらず1歩も2歩も先に進んでいる人であろうし、他の人に比べて能力的に優れているわけではないけど、その人の1ヶ月前2ヶ月前に比べて大きく変化している人のどちらかをだと言える。
 
そして、その成長は、前向きに“努力”し続けた人しか得られないもので、これは怠惰な自分に対する戦いであると同時に、競争しようとする意思の表れだと思う。

 
 
このような“自分を変えることに対する強い意志”を持っている人が企業に1人でもいると、最初は“ただの格好づけの人間”と思い冷ややかに見ている周りの人も、その人がもくもくと行動し成果を表し始めたとたん“ほんまもん”ということに気がつく。
そして、その内の何人かは自分もそうしたいと思うようになる。
 
つまり、自分自身の変化を求め、努力する人が課に数人いるだけで、成果は着実に上がり始めて、課の業績は大きく変化するはずだし、それは部門や企業全体に伝播する。
 
会社全体の雰囲気が変化を求めるようになり始めると、それまで傍観していた人たちも徐々に自分のレベルを上げることに少し努力し始めるようになるのだ。 

 
 
では、ただ単に企業を発展させるためには成長志向の人を集めればいいのかというと、それだけではまだ不十分。
 
企業トップが、ただ個人任せにするのではなく、自らの成長を示すこと、そして成長することの重要性、成長するための方法を伝えることが重要な取組みとなる。

 
文責:斎藤顕一

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